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末っ子が幼稚園に通っていたころ、私は病気でほとんど動けない日が続いていた。
幼稚園から帰って来た末っ子は、私の枕元でその日にあったことを話してくれたり、自分で思いついた遊びで私を楽しませてくれていた。 少し私が歩けるようになると、私が立ち上がろうとするたびに飛んできては、小さいからだで私を抱き起して、自分の体を私の脇の下に入れて杖がわりになってくれた。 泣き虫でけんかなどもしたことがない末っ子に名付けたあだ名が「正義の味方、ヨワッチイマン」。宇宙の平和を守ったり悪者と戦ったりするのは、ウルトラマンやガッチャマンなどのヒーローに任せて、困っている人のところにかけつけて助けてくれるのがその使命。 体が治った今でも、車から荷物を降ろす時など、黙っていても手伝ってくれる。 そんな正義の味方、ヨワッチイマンが久しぶりに今日、現れた。 末っ子のクラスがインフルエンザのために学級閉鎖になり、自宅に残っている。 布団上げを私が始めると、すぐに飛んできて、全部やってくれた。 部屋に入った時の掛け声が、 「正義の味方、ヨワッチイマン参上!」 小6でもうすぐ中学生、というのに、真顔でそう叫んで布団に飛びかかる姿に、思わず笑ってしまったが、本人はなぜ私が笑ったのかわからない。 私が説明すると、またまた真顔で、 「じゃぁ、ツヨッチイマンの方がいいの?」 と聞いてくる。そして、 「ツヨッチイマンは、ウルトラマンとか仮面ライダーでしょ?僕は、戦いが下手だから、ツヨッチイマンにはなりたくない。」 と布団をしまいながら真面目に答えてくる。 そうだね。私もあなたはヨワッチイマンでいてほしいと思うよ。 鼻歌を歌いながら部屋の掃除機かけをするヨワッチイマンに、そう声をかけた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年03月01日 10時49分48秒
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