古典文学鑑賞会 1月28日の内容
前回途中になってしまった、源氏物語のあらすじの続きを話す。その前に、徒然草からクイズを出す。これは、がのさんのサイトに書かれていたものからヒントを得て、出してみた。ひらがなをあてるものだが、これが案外難しいようで、みなさん、たのしそうに、けれども結構真剣に考えていた。読めたら手を挙げましょう、と。すぐに手を挙げたかたがいたのだが、この方、前からこの話は知っていた、ということでもう少し待ってもらう。間もなく、手が挙がる。「自信はないのだが・・・」とはおっしゃっていたが、大正解。みんな、その答えに納得&大喜び。次いで、女性に対する男性の態度についてかかれた徒然草の段を紹介し、ちょっと盛り上がる。それから、源氏物語のあらすじ。前回、第二部・第三部は話していたので、第一部のみを説明する。物語の順に解説していくのではなく、まず、紫の上系と玉鬘系に分けて、説明。紫の上系は、ハーレクインロマンスかシンデレラ物語、と総括すると、結構納得してくださる方が多かった。玉鬘系は、単純な成功物語には興味のない読者層を狙った、週刊ポスト的な話題が満載、と総括。これも、納得顔できいてくださった。そして、玉鬘系は、恋愛失敗譚だ、とも説明。空蝉は、一回だけ関係をもったが、あとは徹底的に女のほうが拒否。これは、源氏を嫌ったのでなく源氏のこころをつなぎとめるための女のテクニックで、おかげで、尼になったあと、源氏の館で暮らしていると話すと、びっくりされたり納得顔になったり。夕顔は、当時の貴族社会での恋愛セオリーから考えるとスキャンダラスなことばかりをしている、と説明。つまり、普通なら、そば仕えの女性(女房)が、ここに美人がいますよ、と噂をまいて、男がそれに興味をもって和歌を何度も送る、何度めかにやっと返事がもらえてそれをしばらく続けてから、女房の導きで女の家に行って会話をする、これも最初のうちは、女房を介しての会話。それがだんだん距離が近くなり、直接お話しができるようになって、最後に女の部屋に入って、関係をもつ。この、長い手続きを踏むのが作法であるのに、夕顔の場合は、女のほうから、誘いの手紙を出し、すぐに関係をもつようになる。また、女のいるところから連れ出して、デートする。このデート中に夕顔は急死してしまう。どのシーンをとりあげても、この人物に関してはスキャンダラスなことばかりだ。末摘花は、がりがりにやせて鼻が長く、しかも鼻の先が赤い、しこめ。琴がうまい、という噂に乗せられて垣間見に忍んだところが、ライバルであり親友の頭中将と鉢合わせ。先を越されては大変、と関係をもつが、顔をみて、愕然とする、というゴシップ。玉鬘は、夕顔の娘。実は、頭中将の娘でもある。これが、夕顔に似てかわいいのだ。中年になった源氏が、養女として引き取るが、そのかわいさに猛アタック。が、中年のおじさんの猛烈なアタックや突然手をにぎりにきたり、服を脱いで横たわったり、との無茶に病気がちになってしまう。結局、玉鬘を恋人にすることはできなかった、これもゴシップ。これに対して、紫の上系の登場人物は葵上、紫の上、藤壺、六条の御息所、花散里、明石の君、朝顔と、お行儀がよく、恋愛の成就も失敗も、セオリーどおり。このように、話を巻の順に話すのでなく、2系統に分け、それぞれに代表される女性であらすじを説明した。ここまでで、1時間10分が経過していた。10分の休憩後、書き写し。今回は、「胡蝶」から、秋好中宮主催の春の季の法会のシーン。この話の前に、秋好中宮の女房たちが船にのって、紫の上の住む春の御殿まで庭見物にやってくるシーンがある。これをごく簡単に解説してから書き写しをした。書き写し後、今度は、いま写したシーンの解説。鳥と蝶の格好をした8人の童が春の御殿に咲いた花を花瓶に入れて持ってくるシーンでは、当時の常識ではちょっと考えられない、また、紫式部の美的感覚からもはずれる描写について、特に解説。意図的にそうしたのか、紫式部が勘違いしたのか。これについては、これ以上は深めなかった。それぞれが想像して、自分の考えを持てばよいと思うから。こうして、あっという間に2時間が過ぎた。今回も、無事、終了することができた。次回は、閼伽だなについて、もし話ができるようならやってみる予定である。