オレの名前は、『本ダイス』。
もちろん本名だ!
職業は、私立探偵。
・・・えっ?
これって、『私立探偵 濱マイク』のパクリじゃないかって?
・・・。
・・・。
・・・たぶん、気のせいじゃないかなぁ。
偶然、似ちゃったとか、
向こうがマネしたとかさ(笑)
・・・まぁ、いいや。
気を取り直して、続けるよ。
・・・職業は、私立探偵!
街角のキネマの屋根裏に事務所があるよ。
臨海工業地帯の団地っ子として生まれ育った。
こんなちっぽけな町でも事件は起こるのさ・・・。
今日も『看板』にまつわる奇妙な事件が舞い込んできた・・・。
第一章■我が人生最悪の時■
その奇妙な看板は、近所の飲食店に掲げてあった。
なに?
なんだって?
う・・・。
う・・・。
うな・・・?
えっ!?
うなぎ喫茶!?
やばいぜ!
どうなってるんだ、この店?
・・・うなぎの店?
・・・喫茶店?
・・・うなぎが集まる喫茶店?
うなぎ味のコーヒーを出す喫茶店?
考えれば考えるほど、奇妙な看板の店だぜ!
・・・この奇妙な事件は、迷宮入りファイルにしまって、この場は撤収しよう。
読んでるみんなは、欲求不満になっちゃうかもな。
どうかしてるぜ、うなぎ喫茶!!
第二章■遥かな時代の階段を■
また新たな依頼が舞い込んできた。
東京の下町にも看板にまつわる不思議な事件があるらしい。
『表札』・・・個人の住家をあらわす大切な個人の看板だ。
その表札は、秋葉原の路地裏にあるという。
やる気が失せているとしか思えないメイドさんたちがフライヤーや割引券を配っているのをかわして、
あるビルの古ぼけた裏口にやってきた。
『ダンボール』???
表札が、『ダンボール』?
ダン・ボール・・・えっ?フランス人?
ダン・ボール・ゴルチェ?
そんな名前のブランドがあったよね。
・・・ああ、あれはジャン・ポール・ゴルチエか!
この表札の向こうに、誰がなんの目的で住んでるんだ?
・・・この不思議な事件は、迷宮入りファイルにしまって、この場は撤収しよう。
読んでるみんなは、眠れないくらい欲求不満になっちゃうかもな。
どうかしてるぜ、ダンボール!!
東京・上野のアメ横。
ここにも奇っ怪な看板が・・・。
この店は、女性従業員を採用するとき、『顔』で決めているとの噂だ。
最近は『男女雇用均等法』とかあるから、経営者の好みやエゴで採用を決定すると差別問題に発展することもある。
その看板は、アメ横の中腹あたり、ミリタリー専門店の中田商店の向かい側にあった。
『ドブス・テーラー』!?
決して美人の店員がいない店???
足がすくんで、店内に入れない!!
なぞだ!
なぞだらけだ!
そういうワケで・・・
・・・この奇っ怪な事件は、迷宮入りファイルにしまって、この場は撤収しよう。
読んでるみんなは、徹夜しちゃうくらいイライラしちゃうかもな。
どうかしてるぜ、ドブステーラー!!
あーっ!
ガード下の中華料理屋の看板が・・・
ちんち・・・・・・・・・・。
これに関しては、ノーコメントってことで・・・。
論外。
見なかったことに・・・。
第三章■~罠~■
地元の港町に帰ると、またもや依頼が舞い込んだ。
建物の壁面に掲げられたマンション名・・・。
『イースト・ヴィラ』
どこにでもありそうなマンションのネーミング。
しかし、
エントランスに掲げられているプレートの名前が・・・
!!!
『イースト・ブラ』
・・・。
・・・。
・・・日本語に訳して
『東側のブラ』?
『東洋のブラ』?
あの・・・
ランジェリー系・・・ですか?
小さい『イ』だけが故意に剥がされたのか?
いや、この文字間隔からすると、そうじゃないらしい。
看板を間違えて発注したのかも・・・。
この建物を登記するときも間違えて『イースト・ブラ』で登記してるかも。
なにも知らずに、巨乳・・・じゃなかった。
なにも知らずに、居入してくる
ブラに住む人達・・・。
・・・この奇妙な事件は、迷宮入りファイルにしまって、この場は撤収しよう。
読んでるみんなは、ノイローゼになっちゃうかもな。
どうかしてるぜ、イースト・ブラ!!
今回の事件は、どれもこれもオレには理解できないような
奇妙なものが多かったな・・・。
オレの名前は、本ダイス!
もちろん、本名だ。
職業は、私立探偵・・・。
キネマの屋根裏で待ってるよ。
なんか困った事があったら、いつでもおいでよ!
【つづく】