みなさんの好きなクルマはなんですか?
ベンツ?
フェラーリ?
ポルシェ?
アルファロメオ?
国産車とか?
・・・自分は、大好きなクルマがあります。
それは・・・
【フォルクスワーゲン・ビートル】
名前だけ聞いても「はっ?」ってなっちゃうかもしれませんが、
今回の日記のトップの写真を見てもらえば「ああ~、あのクルマね」ってわかってもらえるはず。
誰もが知ってるこのクルマ。
小さいころから近所をたくさん走ってて、ユーモラスなデザインが好きだった。
一日にビートルを7台みたら、いいことがある!
・・・なんて、子供のころ、こんなジンクスが流行らなかった?
ワーゲン作ってる工場の人は、毎日いいことづくしになっちゃうよね(笑)
大人になって、免許とって、いざビートル乗ろうとしたら、
とっくの昔に生産終了してた・・・・。
1979年、生産終了・・・。
そのころ、オレもまだ小さな子供だ・・・。
でも、調べたら、まだメキシコの工場で細々と生産されてた!!
買ったよ!新車で!
今、思い起こしてみるとこのビートルに乗ってたときワクワクしてたな、毎日。
自動車免許をとってから今日現在まで、そんなにたくさんクルマを乗り換えてきたワケではないけれど、
一番乗ってて楽しいクルマだった。
自分にとってはピッタリ息の合った最強の相棒だった。
みんなからも、「ホンダイスのキャラに合ってるよ!」って言われてた。
平行輸入の外車だから左ハンドルのこのビートル。
カーステレオでアメリカン・グラフィティのサントラやオールディーズをガンガンにかけて走った。
曲に合わせて、でたらめな英語で歌ったり、いつもご機嫌でハンドルを握ってた。
切り立った天地の狭いフロントガラスから眺める街並みは、キラキラ眩しいくらいきらめいて見えて、
このままどこまでも走っていけそうな気がしてた。
街行く人たちは、ドカドカうるさいこのクルマを振り返っては、笑顔を投げかけてくる。
道で同じビートルにすれ違うとクラクションを軽く鳴らしたり、片手をあげて挨拶するのが、このクルマのオーナー同士の暗黙のルール。
まったく知らない人同士がビートルを媒体にして仲間意識のコミュニケーションを無意識にとっている。
なんかワクワク楽しいクルマだったんだ・・・。
ルビーレッド色の自分のビートルは、『ロボコン』みたいなイメージで愛着があった。
身なりも気にせず一生懸命モーレツに頑張ってるんだけど、がんばってる方向を間違えちゃって、
失敗して周りの人に迷惑かけたり、ドジ踏んだり・・・。
不格好だけどハートは熱くて、どこか憎めないヤツ。
フォルクスワーゲンはドイツの自動車メーカー。
そもそもこのクルマは、第二次世界大戦中にヒトラーが
「大人2人と子供2人のファミリーが乗れる居住空間。燃費が良い。それでいてコストが安い大衆車を短期間で作れ!」
・・・と、ポルシェ博士にムチャ振りしたことがきっかけで誕生したクルマです。
こうして産まれたのが正式名称『フォルクスワーゲン・タイプ1(ワン)』
のちに『ビートル(かぶと虫)』『バグ(虫)』と親しみをこめて呼ばれるクルマになるワケです。
だから、ビートルはフォルクスワーゲン社の製品でありながら、ポルシェ・デザインなんですよ。
なんとなくポルシェ・カレラのカエルちゃんみたいなデザインとなんとなく似てるでしょ?
ビートルって、ダイエットに失敗したポルシェみたいじゃない?(笑)
しかも誕生のきっかけとなったのは、歴史上で有名なあのヒトラー。
終戦後、ビートルはアメリカで大ブレイクします。
当時、横一列に3人座れるくらいバカでかいアメ車が売れていた時代に
『Small is Best(小さいことはいいことだ)』と、当時の流行を逆手にとったような度肝を抜くようなキャッチコピーでアメリカに殴り込みをかけたのです。
販売戦略の演出の上手さでセールスを伸ばし続けました。
とくに西海岸のメカ好きやサーファーなどの若者の間でブレイクしました。
そしてビートルは数々の伝説を作っていくのです。
普通、クルマのエンジンはフロント(前側)のボンネットの中にあるじゃないですか・・・
このビートルは普通のクルマと違ってエンジンが後ろについている『リア・エンジン方式』の設計です。
この写真みたいに(画像参照)
ビートルに乗っていたときのエピソード・・・。
当時、付き合っていた彼女を乗せて、横浜・本牧までドライブに出掛けました。
ショッピングしたり、食べたり、はしゃいだり、さんざん遊んで、ビートルが駐車してあるパーキングに戻りました。
運転席に乗り込んだオレは、キーを差し込みアクセルを踏むのですが、
セルモーターが回らず、エンジンがかかりません。
これはエンジンがかからないという迫真の演技です。
彼女をちょっとからかってやろうと思いついたから(笑)
深刻な顔して焦ってるオレに彼女はただならぬ雰囲気を感じたのか、
事態を黙ってみつめています。
運転席を降りたオレは、おもむろにボンネットを開けました。
「あ!あああああっ!ないっ!」
「サトシくん、どうしたの?」
彼女も慌てて、クルマから飛び出し駆け寄りました。
「エンジンが盗まれたーっ!」
「えーっ!!!うそーっ!?」
彼女がボンネットの中を覗いたら、そこにはエンジンがなく、ガラーンとした空間が!
「ホントだ!エンジンがない!
サトちゃん、どーするのぉ~!!」
こんなとこにエンジンがあるわけないんです。
このクルマのエンジンは後ろに付いているワケですから(笑)
ここで種明かししようと思ったのですが、彼女はエンジンが盗まれたものと信じて疑わない様子なので、
オレは全米ナンバーワンのアカデミー賞主演男優賞候補になってもおかしくないような迫真の演技を続けました。
「くっそーっ!誰だ、こんなひどいマネしやがって!
どーしたらいいんだよっ!くっそーっ!ふざけやがってよ!」
「サトちゃん、そんなに怒らないでよぉ。」
「あああああっ!もうダメだ。オレ、どうしたらいいんだよ・・・」
ことの深刻さに目が潤んでる彼女。
いつもは自信たっぷりで毒舌だったり、のほほんとしているオレが、イライラしたり、オロオロしてる豹変ぶりにビックリしている様子。
オレも笑っちゃいけないと感情をコントロールして、いるはずもない幻のエンジン泥棒に向かって怒りをぶつけ続けました。
「オレ、警察に盗難届け出してくる!
ちょっとここで待っててくれるかな。」
「うん、わかった。待ってる」
「ちゃんと見張っててね!今度はボディが盗まれちゃうといけないからさ。」
「うん。」
「あっ!これ持ってて!」
クルマの中から雨傘を取り出して彼女に持たせました。
「じゃあ、頼んだよ!」
オレは一目散に走り去りました・・・ジュースを買いに。
・・・姿を隠すために建物の陰に。
そっと覗いてみると・・・
ボンネットをぱっくり開けたビートルの前に、
カンカンに晴れた夏の日に雨傘を握りしめて、うなだれている彼女。
あまりにも間抜けでシュールな構図にオレは、床を転げながら笑いたい心境でした。
さて、どこで種明かししようか?
彼女・・・目のあたりを手で拭っています。
・・・!!!
彼女、泣いちゃった!
ヤバい!半べそかいてる。
建物の陰から見える彼女は、学校の先生に怒られて罰として廊下に立たされてる子供みたいで、しょんぼり肩を落とした様子がとてもいとおしく見えた。
慌てて彼女に駆け寄り、種明かしをしました。
「ホント心配したんだよ!私、心配してたんだからぁ」
彼女は安心したのかワンワン泣き出しました。
その後、帰りの車中で復讐の鬼と化した怒り狂った彼女は、次々ムチャ振りをしてきました。
八つ当たりされながら運転するオレ(泣)
その後、彼女が以前から欲しかったものをオレが買わされ示談で解決しました。
金品で解決かよっ!
全米が泣いたオレの演技。
彼女も泣いた。
オレの財布の中身も泣いた。
オレのクレジットカードも泣いた
(笑)
・・・でも、それも今は、遥か遠い昔の想い出。
しかめっ面で、ご機嫌ななめだった彼女も、
全部、セピア色の想い出の中へ・・・。
(写真は、ビートルに乗っていた当時のオレと愛犬メリーさん。
いつの時代も食べ物に囲まれてるなぁ、オレ・・・。
進歩なし・・・(笑)
格好良すぎてゴメンなさい!
どうせオレはカッコイイ・・・)