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そぞろある記

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2004.04.11
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同じ市内のケア付きマンションに住む父が、仲間を4人連れてうちの店に来た。
丁度お昼時で珍しく店に入りきれない人が出るほど混んでいたので、父も鼻が高かったらしい。
その後仲間に街の各所を案内して、夕方一人で我が家に食事に来た。

母を亡くして今年で4年目に入る。
母の死後、父とはいろいろあっが、今は私の家での食事を何よりの楽しみにしてくれているようだ。
その父が娘たちに、吉田松陰の辞世の句

親思ふこころにまさる親こころけふの音づれ何ときくらん

を詠んで聞かせていた。
死刑を免れないと悟った吉田松陰が、親より先に死ぬ自分のことを知らされる親の心情を思って詠んだ歌だ。
子供が親を思うより、親が子供を愛する気持ちの方がずっと強いんだ、と言って聞かせている。

間接的ではあるが、思わぬ父の愛の告白?に、つい聞こえぬ振りをしてしまった。

家内の父は彼女が二十歳の時に事故で亡くなっている。
義父の兄弟は5人で、親戚も集まったお通夜は大変賑やかだったそうだ。でも家内の祖父つまり義父の父親は、棺の横でづっと泣き続けていたそうだ。
その義父の七回忌、家内の親族として初めて法事に参加したが、法要の間中90歳を過ぎた祖父はやはり肩をふるわせ泣き続けていた。
最大の親不孝は親より先に死ぬことだという意味が痛いほどわかった。

歴史物の小説を読んでいる時、自分は何の為だったら死ねるか、と考えることがある。
でも私には家族を守るため以外には考えられない。

日本の栄誉と誇りを守る為に、志願して派遣に応じた若き自衛隊員。
戦争の犠牲になった子供を守る為にイラクに渡った人達。
ともに純粋な人達なんだろう。

家族以外の為に死んでもいいとの覚悟が出来てのことだろう。
でも残された家族の為に、一人も犠牲者が出ないことを切に祈る。





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Last updated  2004.04.16 11:00:06



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