テーマ:治験のお仕事(128)
カテゴリ:治験関係
▼『治験対象母集団の選択・組み入れ基準』
カッコ亀井「じゃ、今日は治験の総括報告書の『治験対象母集団の選択』から検討していきます。」 MT「まず、最初に『組み入れ基準』ね。プロトコルで言うならば『選択基準』です。ここでは、その設定根拠、理由を説明することになっています。」 ぽちりん「ポイントとしては、『治験の目的に照らして、その母集団が適切であるかどうか』だわね。」 BECK「そのためにはどんなこを書くの?」 ハレ~「そうね。例えば、特定の診断基準とか、疾患の重症度、罹病期間などは、たいていのプロトコルで規定しているよね。」 ヨネヤマ「その他にも、もし、プロトコルで用いている特定の検査や評価方法が有れば、そのことを書き、また、その設定根拠なども書いたりする。」 ちゃちゃ「となると、ここで、一番大切なことは『設定根拠』と言うことかしら?」 黒丸「そういうこと。この総括報告書のガイドラインが公表されてから何が変わったかと言うと、実はプロトコルの作り方や記載方法が大きく変わったんだよ。」 フロリス「どういうこと?」 さら「この総括報告書で、必ずそれぞれの項目について『設定根拠』を書くことになったので、プロトコルを作る段階から、そこを明示的に示していかないと駄目なんだ。」 かずさ2号「だから、今のプロトコルでは、必ず、選択基準や除外基準の『設定根拠』が記載されているわけ。」 みっちーK「なるほどね。」 あんみ2「このあたりは、治験の総括報告書作成ガイドラインでは、どう規定しているの?」 ピース「下記のとおりよ。」 9.3 治験対象母集団の選択 9.3.1 組み入れ基準 患者母集団及び患者を治験に組み入れるために用いた選択基準を記述し,治験の目的に照らしてその母集団が適切であることを考察すること。 用いられた特定の診断基準及び疾患に要求される特定の事項(例えば,特定の重症度又は罹病期間,特定の検査,評価尺度若しくは身体的検査の結果,前治療が有効とか無効というような特定の病歴上の特徴,又は予後因子である可能性のある他の因子及び年齢,性別若しくは人種的因子)を提示すること。 スクリーニングの基準及び無作為化時又は治験薬による治療への組み入れ時に判断するための追加基準について記述すること。 治験実施計画書では定義されていない付加的な組み入れ基準があったと考えられる理由がある場合には,それらの意味合いについて考察すること。 例えば,治験責任医師によっては,特定の病態又は特定の初期状態を有する患者を除外したり,他の試験に組み入れたりしたかもしれない。 フクちゃん「今後、もし、新薬の世界同時開発とか、国際共同治験となると『人種的因子』あたりも重要になってくるわね。」 てぃん「そうだろうね。そのあたりは、さらに、解析計画書でも詳細に設定していく必要がある。」 ▼『治験対象母集団の選択・除外基準・患者の治療又は評価の打ち切り』 澤田「じゃ、次は『除外基準』だね。これも基本は『選択基準』と同様の記載方法をとります。」 かき氷「問題は、次の『9.3.3 患者の治療又は評価の打ち切り』だわ。途中で治験を打ち切った創薬ボランティアがいた場合の対応方法について記載することってところね。」 のの「ガイドラインでは次のように規定しています。」 9.3 治験対象母集団の選択 9.3.2 除外基準 治験への組み入れ時点での除外基準を特定し,その根拠(例えば,安全性への配慮,管理上の理由又は治験対象としての適切性の不足)を示すこと。 試験結果を一般化する際の除外の影響について,報告書13章又は安全性及び有効性の総括的な分析のなかで考察すること。 9.3.3 患者の治療又は評価の打ち切り 患者の治療又は評価観察を打ち切る理由があらかじめ定められていれば記述し,さらにそれらの患者についての追跡観察の種類と期間が計画されていれば記述すること。 トモチカ「ここで話がややこしくなるのは、個々の創薬ボランティアで、治験を打ち切った理由が様々あるからね。」 ken2「そうね。GCP違反、プロトコルからの逸脱というような場合から、さらには有害事象や副作用の発生に伴って治験を打ち切った場合、また、創薬ボランティアからの申し出による治験の打ち切り、治験責任医師や治験分担医師の医学的判断による中止とかね。」 吉野川 みなみ「GCP違反やプロトコルからの逸脱では、重大な場合は、その創薬ボランティアの全データを解析から外さないといけない場合もある。」 さりさり「それは悲惨。というか、創薬ボランティアに対して失礼だわ。」 ZOO(ズー)「そのとおり。創薬ボランティアが命がけで、文字通り、命をかけて治験に参加したのに、たとえばモニターの怠慢やCRCの不注意などで、GCP違反を起こしてしまったり、重大なプロトコル違反を起こしてしまったら、せっかくのデータが全て、水の泡になる。」 ペイン「なんのために、創薬ボランティアが治験に参加したか、分からない。」 アブラハム「もし、私が同じ立場の創薬ボランティアだったら、怒るわね。」 薬作り職人「まったくだ。」 おきょう「でも、そういうことさえ、創薬ボランティアには伝えられないわ。」 へい太郎「いいんだろうか?」 ゆ「駄目じゃない?」 あんころ「もし、モニターの怠慢でその創薬ボランティアの治験データが使えなくなったら、治験依頼者は謝罪すべきかもしれないな。方法はどうあれ。」 Binobin「私が悩みに悩んだ末に参加した治験。痛い思いをして検査まで受けて、プラセボかもしれないとか、未知の副作用が出るかもしれないという不安を抱えて参加していた治験。それで、データは不採用、って何?って感じだよね。」 ゆうこ「うん。そうそう。」 ムーミン「みんなはどう思う?」 デーモン部長「せめて、あなたの治験データはどう使われました、あるいは、こういう理由で使われませんでしたということぐらいは、報告するのが最低の礼儀だろうな。」 ■架空(仮想)の製薬会社「ホーライ製薬」 ■臨床試験、治験を考える「医薬品ができるまで」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 12, 2007 10:34:25 AM
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