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テーマ:映画館で観た映画(8529)
カテゴリ:北欧映画
本当に久しぶりに映画館に見に行きました。この監督さんの作品は最初の作品を除いて3作品みな見に行ってます。スザンネ・ビアという寡作な監督で、この映画でアカデミー外国語映画賞を取りました。
『未来を生きる君たちへ』『というこの映画の原題は『復讐』です。 医師アントンは、デンマークとアフリカの難民キャンプを行き来する生活を送っていた。運ばれてくる患者には、胎児の性別を賭けて、妊婦の腹を裂く“ビッグマン”の犠牲者もいた。長男エリアスは学校でソフスから執拗ないじめを受けていたが、教師はかえってエリアスを転校させようと言う始末。ある日彼のクラスに転校してきたクリスチャンがエリアスを助ける。クリスチャンを庇ってナイフの居場所を隠したエリアス。ある日港にアントンがクリスチャンとエリアスを連れていくと、乱暴な男に顔をはたかれてしまう。殴られても殴り返さないアントンにクリスチャンは苛立ちを隠せないでいるのだが…。 アントンと息子エリアス、大人の世界と子供の世界で繰り広げられる【強者が弱者をいたぶる図】が並行して描かれる。ある日アントンの所にビッグマンが担ぎ込まれる。皆は「何であんなのを治療するんだ」と怒るが、彼は医師の職業的倫理感で助けると答える。こういうシーンはよくTVドラマERでも頻繁に登場した。しかしある時、彼の感情が職業倫理感を凌駕する場面が登場する。いじめっこといじめられっ子の構図と、大国と小国の構図と、こうして見ると何ら変わりはないのです。アントンの所にビッグマンが担ぎ込まれてきます。皆は「何であんなのを治療するんだ」と怒りますが、彼は仕事だから助けるんだ、と答えます。こういうシーンはよくTVドラマERでも出てきました。加害者と被害者が担ぎ込まれたりするシチュエーションですね。 暴力に暴力で立ち向かったら、永遠にそのやり合いが続いてしまう。それは理性で考えたらとてもよくわかります。でも、ふとこうも思うのです。やられっぱなしでいるうちは、一方的な暴力が永遠に続くのではないか。反撃してこちらが強いのだということを見せないと、いつまでも終わらないのではないか。オトナの世界にも、実際こういうことがあるからです。だってアメリカはビンラディンの死亡を、あんなに喜んだではありませんか。 暴力に暴力で立ち向かえば、ただ連鎖が続くのみ。だから我々は、感情によってでなく理性で行動しなければならない。それは正論だ。しかし、現実にはどうだろうか。殴る側は、殴られる側が反撃をしない限り、一方的に暴力を加え続けるのではないか。反撃してこちらが強いのだということを見せないと、いつまでも終わらないのではないか。スザンヌ・ビア監督作品だけは公開直後に見に行くのは、彼女の作品にはキレイごとはないからだ。どちらが正しいのかを提示する映画ではない。しかし決して現実に絶望しているわけではなく、むしろその中で見出せる希望に目を向けている。この映画もそうだった。 答えは見た人それぞれが得るもので、映画が押しつけるものではありません。 この監督は、押しつけない。リアルから逃げない。そこがよくてずっと見ています。 未来を生きる君たちへ【Blu-ray】 [ ミカエル・パーシュブラント ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 25, 2017 08:57:25 PM
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