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January 3, 2014
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みなさん、こんばんは。正月早々、とっても怖い話をしていいでしょうか?

短くて恐ろしいフィルの時代
The Brief and Frightening Reign of Phil
ジョージソーンダーズ【著】
岸本佐知子【訳】

昔々、あるところに、あまりに小さい内ホーナー国とそれを取り囲む大国・外ホーナー国がありました。さて、どれくらいちっちゃいかというと
「〈内ホーナー国〉の小ささときたら、国民が一度に一人しか入れなくて、残りの六人は〈内ホーナー国〉を取り囲んでいる〈外ホーナー国〉の領土内に小さくなって立ち、自分の国に住む順番を待っていなければならないほどだった。」
電話ボックス?簡易トイレ?
常に第三者の国に遠慮しなければいけない状況ですね。

 一方の外ホーナー国は
「〈一時滞在ゾーン〉にこそこそ身を寄せあって立っている内ホーナー人たちを見るたびに何となく胸糞がわるくなったが、同時に、ああ外ホーナー人でよかったとしみじみ幸せをかみしめた。
おや、不法滞在者を見ている現代のどこかの国民を彷彿とさせますね。

 さて、危うい均衡を保っていた両国ですが、この後更に〈内ホーナー国〉が狭くなります。そして、内ホーナー国のいち個人に恨みを持つフィルなる人物が現れ、はみ出した分の税金を徴収しようと言い出します。
「われら外ホーナー人に美点があるとすれば、それは寛容なことである。われら外ホーナー人に欠点があるとすれば、それは寛容すぎることである! このケチな連中が小さなみじめったらしい土地しか与えられなかったといって、それがわれわれの落ち度であろうか? 否! 全能なる神が彼らにこんな小さなみじめったらしい土地しかお与えにならなかったのは、神に何かお考えがあってのことなのだ。」
 「短いセンテンスで、わかりやすい」言葉で国を語り、決して自国民を貶めていない。むしろ自分たちの寛容につけこむ内ホーナー人の自堕落さを責めている。こんな演説を聞かされれば、国民達の気分はあがり、この人ならば「今よりも“よりよい世界”に連れて行ってくれる!ついていこう!」と思いますよね。

 一方で気になる描写もあります。フィルの脳みそが動くたびに落っこちていくのです。ちなみに、フィルたちは人間の形態をしていません。最初は側にいた人が落ちた脳を拾ってくれますが、途中からその描写がなくなります。つまり、頭カラッポのプロパガンディストが、ちゃんと脳がある大衆を引き連れていくわけです。大統領の側近、ビッグニュースに飛びつくマスコミ、褒められればフィルのために何でもしたくなっちゃう国境警備員が、彼を独裁者に仕立てていきます。

 「短くて」とタイトルにあるのですから、フィルも両国も想像の通りの結末を迎えます。ハッピーエンディングと評している方もいましたが、果たして、そうでしょうか。
ラストは登場人物のこんな描写で締めくくられます。

「ときどき何時間も藪の中に座り、なぜだか自分でもわからないままに、よりよい世界を夢に見る。彼女やサリーのように、偉ぶらない、ずんぐりしたボール型の体つきをした人々によって支配され、いつだって短いセンテンスで、わかりやすい正義が語られる、そんな世界を。」

 あれ、どこかに出てきましたね?「短いセンテンスで、わかりやす」く語られる「よりよい世界」。


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最終更新日  December 29, 2020 08:19:20 AM
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