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辻村深月さん小説が原作となっている映画ツナグを見ました。


ツナグ
Until the Break of the Dawn

原作
辻村深月

出演
松坂　桃李　遠藤　憲一　佐藤　隆太　別所　哲也　仲代　達矢　樹木　希林　八千草　薫　
桐谷　美玲　橋本　愛　本上　まなみ　浅田　美代子

監督＆脚本
平川　雄一郎

生きている者が、もう一度だけ会いたいと強く願う、すでに亡くなってしまった者。その再会の機会を設けることができる、“ツナグ”と呼ばれる使者の見習いをする高校生・歩美。歩美の両親が謎の死を遂げた後、彼の祖母がその力を受け継いでいた。ガンで逝去した母と会いたいという高慢な中年男・畠田、けんかをしたまま事故死した親友・御園に尋ねたいことがある女子高生・嵐、7年前に消息を絶った婚約者を探している会社員・功一、さまざまな依頼人の願いをかなえる歩美が自分の会いたい人として選ぶのは…。

第32回吉川英治文学新人賞に輝く、辻村深月の小説を実写化したファンタジー・ドラマ。
依頼人が登場する順番や、単なる“祖母の使い”から依頼人に働きかけようと積極的になる歩美の変化は原作通り。

親子、友情、愛情と、いずれも断ち難い情で繋がれた二人が、一度きりの出会いで思いの丈を伝える様を、実は歩美自体は見ていない。彼はホテルの一階で、出会う前と後の依頼人の変化を見ているだけだ。最初の依頼人畠田からは、会合が終わった後に礼を言われる。しかし2番目の嵐は、御園に出会ったことで取り乱す。そこで歩美は「死者と生者を出会わせることが必ずしも幸せにはならないのでは？」と疑い出す。この第2のエピソードが楔となって、第3の依頼人に効いてくる。ただすんなりと感謝、感謝でくれば、歩美は自分が引き継ぐはずの任務に何ら疑いを持たない。しかし第2のエピソードがあることで、一度歩美は立ち止り、ただの“繋ぎ”に過ぎない自分が巻き起こした結果までも視野に入れる事が出来る。その事を考えた上で、あの雨の中の依頼人探しへと繋がる。

小説を読んだ時にも思ったが、第2の依頼人のケースは単なる友情物語に終わらない苦さがある。御園が真相を知りながらもその事を直接嵐に告げず、伝言として歩美に託すことで、嵐が歩美に告白することを封じてしまう。御園の台詞を自分の言葉として歩美に告げた事を知るまでは、もしかしたら彼女は嵐を許すつもりでいたのかもしれない。しかし、自分の死後に嵐が歩美に告げたことで、亡くなってしまった自分が唯一できる復讐を為した。もし嵐が今後歩美に告白したら、きっとあの伝言の意味を聞くだろうことを予測して。
「いつか聞かせて」と許す言葉を告げる一方で為した復讐、いやぁ、怖かった。でもわかる。


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