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カテゴリ:海外のミステリー&ファンタジー小説
『秘密』がベストセラーになったケイト・モートンの作品を紹介します。
【送料無料】秘密(上) [ ケイト・モートン ] 【送料無料】秘密(下) [ ケイト・モートン ]楽天ブックス 秘密上下巻 ケイト・モートン The Secret Keeper 『忘れられた花園』で一躍脚光を浴びた著者の最新作。またもや表紙に仕掛けがあり、上巻下巻を並べてみると、同じようなヘアスタイルで服の色が違う二人の女性が腕を組んでいる。 1961年サフォークで、少女ローレルは母が突然現れた見知らぬ男にナイフを突き立てた場面を目撃する。ショックで気を失ったローレルは、目覚めた時男が死亡し、その正体は近辺に出没していた連続強盗犯だと知らされる。ローレルの証言もあり母の正当防衛が認められたが、その時ローレルが警察に言わなかったことがあった。母に男が「やあドロシー、久しぶりだね」と声をかけたのだ。男も母も顔見知りだったのか? 次の章では、2011年ロンドン―前の章から40年も時が過ぎ、国民的女優となったローレルは、死期が迫った母親に幼い日の疑問を糺したいと考えるが、ある舞台の台本にヴィヴィアンという女性から母に向けたメッセージを見つける。 そして次の章は一挙に1941年―戦火のロンドンまで時計の針が回り、ドロシーがヴィヴィアンという女性からある男性の死を告げられる。 戦時下のドロシー達の行動の次に、2011年に母の秘密を探りに来たローレルの章が配されるなど、自由に時間と場所を行き来しながら、ぴた、ぴた、とパズルのピースが嵌っていくように全貌が明らかになってゆくパターンや、ロマンス、流転の生涯を送る孤児、彼等に襲いかかる邪悪な存在、というモチーフは前作と同じである。但し今回は謎を知る人物=母が存命というメリットがあり、キイとなるうわ言を言ってローレルを導いてくれる。前作では『秘密の花園』が通奏低音となって登場したが、今回は『ピーターパン』がその役割を担う。夢見ることの大切さを教えるという作品のテーマが過酷な状況下を生きる、ある男女を結びつける鍵となる。ローレルが女優という設定や劇を上演するシーンがある事から、今回は“演じる”という事がキーワードになっている。 さて、二作品通して見ると、モートンの好きなヒロインのタイプが分かって来た。どんな過酷な状況においても明るさと希望と他人への思いやりを忘れない女性だ。彼女が活き活きとし始める場面は前作でヒロインが物語作家としての才を開花させたシーンを彷彿とさせた。 ローレルが他人になり済ますことが得意な女優という職業を選び、若い頃のドロシーもいい家のお嬢さんになり済ますことが好きだった事から、血は争えないものだ、と思っていた。ところが、それにしては、とある人物がどんどん嫌なキャラクターになっていくので、一体これで物語が収まるところに収まるものだろうか?といぶかっていたが、ここは見事に裏切られた。全てがめでたしめでたし…という形ではないが、『忘れられた…』でラストに割り切れないものを感じた読者も、今度は良い気分になれるはずだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
January 26, 2020 08:48:39 AM
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