映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。やっと雨が降りました。昨日今日と涼しくて過ごしやすいです。
さて、今回の物語の主役はなんと泥棒です。でもルパン三世とは全然違いますよ。あら、でもアニメの世界のルパンは結構善人ですから似ているかもしれません。

泥棒は几帳面であるべし
Something Missing
マシュー・ディックス

泥棒が主人公の小説といえば、いかに難攻不落に守られた場所であっても、価値のある宝石や絵画などを盗み出すその手際に着目したものが多い。しかし本作は少し趣が違うようだ。何せマーティンにはいっぷう変わったルールがある。

1．なくなったのが気付かれるようなら、それは盗らない
ね、ここでまず、違いますでしょう。今までの小説ならば「盗まれた！」という事が広く世間に知れ渡り、その事によって泥棒のテクニックが喧伝されるのです。しかしこんなちまちました盗み方では、テクニックの広まりようがありません。

2.つねに既婚者で、子どもやお手伝いさんや犬のいないところにする
これもおかしいですね。上に挙げたこれらの事は盗む上での困難であり、例えば犬は眠らせるとかお手伝いさんはホームズのように婚約しちゃうとか、いろいろ排除していく壁に過ぎません。ところがマーティンはその壁を越えようとしないのです。

3．金持ちすぎず、貧乏すぎず、けっして資産が遺産相続したものではないこと
金持ちから金品を奪うのが義賊であったり怪盗であるので、ここも違います。

何だかここまで書いてみると、彼がまるでつい先ごろテレビで放送された『借りぐらしのアリエッティ』の小人のように思えてきます。

そして彼の、お得意と呼ぶ侵入先の家族構成、生活習慣を調べ上げるなど、準備にかける手間のかかること。ブログを立ちあげて女性になり済まして文章を書くなど、泥棒をやるためにそれだけの技術を
身につけるのであれば、転職しようよ！と言いたくなってしまうほど。ましてや、後半になれば彼は盗みのためでなく人助けにその能力を使うのですからなおのこと。ちょっとした親切が人のためになっていることに喜びを感じる心があるのですから、是非是非その細かさを生かしたベストな職業を選んでほしいものです。

ところで、後書きにちょっと気になることが。著者のプロフィールとして「23歳の時に強盗事件に遭遇して人生を考え直し、カレッジに入った」と書かれていますが、その後教師と小説家になった彼の人生の転機となった強盗事件とは一体どんなものであったのか、気になります。

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