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カテゴリ:ローズマリー・サトクリフ
みなさん、こんばんは。ウクライナでの停戦合意が成って安心しました。
だれが戦争を喜ぶでしょうか。しかし世界で戦争が無くなる日が早く来てほしいものです。 さて、今回はイギリスの作家がティーン向けに書いた小説を紹介します。 ケルトとローマの息子 Outcast ローズマリーサトクリフ(著者),灰島かり(訳者) ケルトの戦士として育った少年ベリックは、実は 拾われたローマ人の子どもだった。不作と疫病の年、その原因として部族を追放され、ローマへと向かった少年を待っていた 運命は…? サトクリフ作品には主人公と特別な絆で繋がれる犬達が登場する。「太陽の戦士」「第九軍団のワシ」「剣の歌」(以下登場するのは全てサトクリフ作品)等々。本作でもゲラート、雌犬カノグが登場し、人間達にひどい目にあわされた主人公を慰める。犬は、相手を民族や髪の色で見たりしない、自分を好きか、自分が好きか、それだけだ。人間よりよっぽどその人本人を見抜く力があるのかもしれない。 なのに、人間は何でややこしいのだろう。その人本人より、髪の色や肌の色など外側を見ようとするのだろう。それは、テロ後の世界にも言えることだ。私には、災疫が昨年のテロ、 主人公ベリックがテロリストではないのに爆撃を受けたアフガン人に重なって見えた。まるでサトクリフが死後のテロ事件を予測していたかのような展開だが、人間は、社会はそう簡単に変われないという事なのだろう。 ベリックが自分の立場を仲間との戦いで勝ち取り、ケルトの戦士として認められてゆく過程はサトクリフ作品「太陽の戦士」を思い出す。 しかし、そうまでして得た自分の立場は、ローマ人という外側の事実の前に、何の意味も持たなくなってしまう。 同じ「ケルト」をタイトルに持つ「ケルトの白馬」で先住民の血が流れている証拠の褐色の肌を持つ主人公の少年が自らの部族から疎外されるのと全く同じだ。 そしてサトクリフは「太陽の戦士」同様主人公にたやすく救いの手を差し伸べない。映画「ベン・ハー」もかくやと思うほどの苛酷な運命を授けておいて、彼女は自力での救済を課する。 自分の生まれに関係なく、自分の想いで自分の場所を見つけ、それを戦って勝ち取れと。 著者が主人公に挑んでいる。それほどの激しさを、私は本書に感じた。 奴隷船の中での暮らしで次第に神経が麻痺してゆく様子と、仲間イアソンとの交情は「王のしるし」でフィドルズが拳闘士として過ごしてきた日々と唯一の友人、ボーティマックスとの関係を思わせる。 また、映画「真夜中のカーボーイ」でのジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマンとも見える。 【中古】 ケルトとローマの息子 /ローズマリーサトクリフ(著者),灰島かり(訳者) 【中古】afbブックオフオンライン楽天市場店
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最終更新日
March 24, 2017 10:10:35 PM
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