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みなさん、こんにちは。いよいよ10月ですね。サッカ―も新監督のもとで練習が始まっています。
さて、次の監督の時もこの人は随行するのでしょうか。

サムライブルーの料理人サッカー日本代表専属シェフの戦い
西 芳照


　先に行われた南アフリカワールドカップでは、メンバーの高地順化にスタッフがいかに貢献したか、またザースフェーのミーティングがチームの和を生み出した、などの逸話がメディアで数多く取り上げられていた。しかし、大躍進の一番基本を担った人が忘れられているようだ。皆のパワーのもと、食を担当したサッカー日本代表シェフ、西芳照氏である。
　本作は四章に分かれ、時系列に沿った形で西氏の業績とサッカー日本代表の軌跡が綴られている。第一章は西氏の生い立ちと、日本サッカー協会・Ｊリーグをパートナーとするスポーツ施設であるＪヴィレッジへの就職が縁で、サッカー日本代表の帯同シェフとなるまでの経緯、第二章は二〇〇六年ドイツワールドカップの帯同シェフ経験、第三章は南アフリカワールドカップに向けての準備、そして第四章は日記形式でワールドカップでの活動が紹介されている。各章のボリュームもほどよく、小タイトルが冠されているので、内容も明確だ。キッチンという、人間が比較的リラックスする場で日本代表メンバーが見せる気遣いや言動が紹介されているのも魅力である。
　食の側面から見たワールドカップの記録としても楽しめるが、一方で常にスキルアップを図り最善を尽くそうとする西氏の姿を通じて、職業人のあるべき姿を指し示している書でもある。例えば、西氏は出来あいの料理をただ出すのではなく、『ライブクッキング』というその場で調理するスタイルを取り入れ、マンネリになりがちな食事に変化をもたらしている。これもいきなり南アで実施したのではなく、予選大会の際に初めて実施し、少しずつ改善を加えていった様子が描かれる。また、国が違えばスタッフの人柄も違う中でコミュニケーションに気を使い、それぞれのウィークポイントも把握した上で職務を全うすることに努めた様子も紹介される。
『「これでいい」と満足したら、そこで進歩は止まってしまう』と述べる西氏。彼の真摯な記録は、今後変化し続ける世界を相手にビジネスを行う企業人にとっても、大いに役立つと思われる。


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