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カテゴリ:ローズマリー・サトクリフ
みなさん、こんばんは。随分夜寒くなってきましたね。今朝起きた時に霧が深くてびっくりしました。
みなさんの所ではいかがですか? さて今日は ミステリからちょっと離れてイギリスのYA小説を紹介します。 アネイリンの歌 Shining Company ロ-ズマリ・サトクリフ 紀元600年。ケルト民族のブリトン人やピクト人は、北欧の ゲルマン民族アングル人やサクソン人に、ブリテン島支配を広げられていった。 ブリテン島北部にあるブリトン人の王国ゴドディンのマナゾグ王は、 彼の氏族の首都ダン・エイディン(エディンバラ)に300人の騎士を召集。 侵略してきたサクソン人に対する戦争を開始した。 サトクリフ作品では、歴史上の事件や戦いの中で、主人公の少年が 成長を遂げる。 本書の主人公は、王子ゴルシンの従者として戦いに赴いた少年プロスパー。 だとすれば、当然彼に焦点を当てたドラマ展開が予想されるが、前半の 焦点は同胞隊(原題=Shining Company)に当てられて いるようだ。同胞隊とは、詩人アネイリンが歌った「ゴドディン」 に登場する騎士達の事だ。 プロスパーは、詩人が見ていなかった部分での騎士達を見ていた 傍観者的な存在として、作者に必要とされただけではないのか。 そう考えてしまうほどに、彼の存在感が希薄に感じられる。 プロスパー個人の悩みや楽しみが、全く描かれていない 訳ではないが、それよりも、隊を率いる王の庶子に傾倒し、 ある時は、ライバル関係にある親衛隊と競いあい、 またある時は、他国の王に披露するため勇気試しに挑む少年達の方が、 段違いに強い印象を残すからだ。まるで、両親や身近な大人達と離れ、 夏期講習にやって来た学生か、映映画「白い嵐」に登場する少年達 のようで、とても身近な存在に思える。 おそらくそれは、オリジナルの詩「ゴドディン」に、 肉付けをしたサトクリフの文章力に負う所が大きいのだろう。 ところが、後半を読んで、サトクリフが少年達の大判振るまいをした理由が わかった。 彼等は、戦闘に参加し、皆姿を消してしまうのだ。詩に謳われた カナンただ一人を残して。0.3%の生存率の戦い。どれほど壮絶な戦い だったことか。 サトクリフの描いた生前の彼等の姿が思い出され、戦争の酷さと 理不尽さに対する怒りが、俄然強くなる。恐らく、生き残った一人、 カナンと従者プロスパー、詩人アネイリンらの思いも同じだっただろう。 だが、苦しみはこれだけで終わらない。 サトクリフは、この戦闘の結果が、ある個人の思惑に左右されたものだった という更に苛酷な事実を突きつける。とことんまで暗闇に落ちた彼等が、 自分一人で、心に吹き荒れる嵐と戦わなければならない状況に置かれた時、 やっと本来の『主人公の成長』というテーマに辿り着く。 随分と凝った作り方をしている。 現在のエディンバラには、かつての王国を偲ばせる遺跡がない。 もちろん、300人の彼等の墓碑も見当たらない。 けれど彼等は、きっと忘れられる事はない。 彼等の事は、言葉によって、これからも語り伝えられていくだろう。 何百年も前のアネイリンの詩がサトクリフに届き、彼女が新たな 物語を紡ぎ出し、21世紀に生きる私達に届いたように。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】アネイリンの歌 [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 24, 2017 10:11:56 PM
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