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カテゴリ:その他のジャンルの海外小説
人事異動で7月から一緒に働くことになった社員はとにかく「やりたくない」「面倒くさい」
が口癖の女性なのです。自分の仕事しかやらない!という態度でああいう方が正社員で残られるのかと思うと 日本の企業って退化してますね。それなのに私達が「しゃべってくれないから社内に味方はいない」 と告げ口して嫌になってしまいます。 さてこちらは先ごろ朝日新聞で紹介されたイーヴリン・ウォーのコメディ小説です。 エクス・リブリス・クラシックス スクープ Scoop イーヴリン・ウォー/高儀進 流行作家ジョン・ブートは、いつもながらの女性絡みのトラブルで、適当な逃げ場所を探していた。彼は、200万部を誇る「ビースト(野獣)」の社主コパー卿に伝手を持つ知り合いの女性に頼み込んで、政変が起こりそうなアフリカの独裁国家イシュメイリアに外国特派員として派遣してもらうよう画策する。ところが派遣されたのは「音を立てずに敏捷に、水溜りの多い沼地を、獲物を追うハタネズミが通る」などのほのぼのした「田園便り」を担当するウィリアム・ブートだった…。 いやはや、こんな人違いが起こるとは、ネットもスマホもないアナログ時代ならでは。いや、本当にそうだろうか?ジョン・ブートを推薦されたコパー卿が‘ブート’を派遣すると決めた時には、彼のファーストネームも曖昧で、著作を読んでいたわけではない。ただ「首相がベッドに置いている(読んでいるとは限らない)」「文体が素晴らしい」などという社交界の噂を真に受けての人選だ。だいたい「世界のどこであれ互いに敵対関係にある強い政権のどれをも支持する」がモットーだというのだから、会社も彼も底が知れよう。ここで槍玉に挙げられているのは「人の本質を見極めないで上っ面で動くセレブ」「売れれば何でもいいジャーナリズム」であり、両者の体質はアナログ時代だろうとデジタルだろうと変わるまい。 さて、イーヴリン・ウォー版『間違えられた男』ウィリアムは、いっぱしの報道記者よろしく電報を送る。ところが彼が送ってくるのは「素敵な春の天候」とか、「電報代高いんだからちゃんとニュースを送れ!」と怒られて「自分が払うと言ってもきかないんだ」という言訳などだ。自分達が望むスクープどころか無駄を延々と高い電報料で送るウィリアムに対する新聞社の焦燥感といったら! 本人は全く普通なのに相手がイライラというシチュエーション、どこかで見たと思ったら、P・G・ウッドハウスのジーヴスと迷惑な学友たち&親戚のそれに似ている。イーヴリン・ウォーはウッドハウスを敬愛していたらしい。実は流行作家でも何でもないウィリアムに、大新聞社もスパイだかタカリだかわからない女性も、果ては時の首相すら振り回されてしまう状況がコメディとなり、同時にマスメディアの諷刺にもなっている。更に解説によれば、社主や彼にブートを推薦する社交界の名士夫人、イシュメイリアにもしっかりモデルがいる(ある)そうだ。国家はともかくモデルにされた方の気持ちを考えると、やっぱりイーヴリン・ウォー、根がイジワルですなぁ。 二〇〇三年英国『ガーディアン』紙上で「古今の名作小説100」に選出され、二〇〇九年に再びガーディアン紙が発表した「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」に選出、更に二〇一四年、『テレグラフ』紙上でも「絶対必読の小説100」に選出。 エクス・リブリス・クラシックススクープ/イーヴリン・ウォー/高儀進【後払いOK】【2500円以上送料無料】オンライン書店boox お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
August 4, 2015 05:06:59 AM
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