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August 15, 2015
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みなさん、こんばんは。お盆が静かにやってきましたね。外では虫の声が聞こえます。
戦争が終わったことは本当に喜ばしい事です。戦争は数々の悲劇を生みました。
この作品もまた、戦争の悲劇のひとつなのです。

フランス組曲
Suite Francaise
イレーヌ・ネミロフスキー

第一部「六月の嵐」
ドイツ軍優勢が伝えられていた第二次大戦下のフランス、パリ。
上流ブルジョワ一家のペリカン家では、離れている夫や神父の長男に代わり、夫人が脱出を主導する。しかし次男は愛国心に駆られて出奔し、脱出の最中に夫人は重大な忘れ物に気付く。銀行で働くミショー夫妻は、上司と共に脱出することになっていたが、土壇場で愛人を同行することを選んだ彼に裏切られる。夫妻が安否を気遣う息子ジャン・マリ―は負傷し、見知らぬ土地で看護されていた。

 第二部「ドルチェ」
舞台はドイツ占領下のフランス・ビュシー。ミショー夫妻以外登場人物が一変。ジャン・マリ―と出会ったマドレーヌは彼に心を残しながらドイツ軍の捕虜となっていた夫と結婚。しかしこの家にドイツ兵が宿泊したことが夫の嫉妬を生みやがて悲劇に。地元の名家アンジェリエ家では夫がドイツの捕虜になり、留守を守る妻リュシルは不実だった夫よりも駐留しているドイツ兵に惹かれていく。

「第二次大戦を人々はどう生きたか」を描く群像劇だ。「組曲」と銘打たれている通り、ブルジョアジー、庶民、時代遅れとなることを恐れる小説家など、立ち場の異なる複数の登場人物の人生が交錯する様が描かれる。五部構成で、その内第一部「六月の嵐」第二部「ドルチェ」、著者の製作ノ―トと彼女を含む関係者の書簡が収録。小説としては「起」「承」のみの構成となっている。中でも著者のお気に入りは庶民のミショー夫妻で、大惨事だって過ぎ去るものなんだから、それと一緒に押し流されないようにしなければならないという台詞などから、「最も少なく持つ者が最も勇気を持って苦難を乗り越えてゆく姿が素晴らしい」という著者の主張が伝わる。また、フランス人を善=被害者、ドイツ人を悪=加害者という善悪二元論的な割り切り方をしておらず、これらの複雑なキャラクターが、裏切り、信頼、愛情、離別など様々な出来事を通じて成長する姿を追えば、さぞ濃密なドラマが展開されていただろう。


 そう、すべては「だろう」という仮定でしか語られない。製作ノ―トには今後の展開が書かれているが、書いているうちにアイデアが湧き「登場人物が動き出す」状態になれば、ートに書かれた内容を遥かに越えたものが完成作となっていたはずだ。未完に終わったのは、彼女がフランス憲兵に連行され、アウシュビッツで亡くなったからである。作家としてまさに円熟期にありながら、そして、厳しい状況の中にあってもこれだけ客観的な文章を書く精神力を持ちながら、ユダヤ人であるというだけで彼女が命を突然絶たれてしまったことほど理不尽なことはない。構成力、キャラクター創造力、描写力、完成させる力量が作者に全て備わっていたにもかかわらず、それができなかったこの作品こそ、戦争が生んだ悲劇である。もう二度と、このような悲しい作品が生まれるべきではない。


2013年英ガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき」必読小説1000冊選出。


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最終更新日  August 15, 2015 12:48:18 AM
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