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みなさん、こんばんは。ブラウン神父は今まで名前は聞いたことがあるのですが読んだことがないので初めて読みました。意外とおちゃめでした。



ブラウン神父の無心
The Innocence of Father Brown
ギルバート・キース・チェスタトン

　パリ警察の主任にして世界的な名声を博しているヴァランタンが、鳴りを潜めている怪盗フランボーを追跡していた。名うての変装の名人である彼にはたった一つ、わかりやすい特徴があった。電車に乗り込んできた客の中からその特徴にあう人物を探すヴァランタンは、ある人物に目を止める。真ん丸の顔にシャベル帽を被りこうもり傘を抱えた小柄な神父のゆくところ、奇妙な事件が起こり…。

　この風采の上がらない神父こそがチェスタトンの生んだ名探偵ブラウン神父であり、この『青い十字架』が初登場作。カトリックの神父である彼は功名心とは無縁で、悪人を改心させることが最終目的であり、罪人に語りかけるシーンもある。同時代に活躍したシャーロック・ホームズとは対照的だ。
また、ストーリーもトリック主体で推理法も証拠品から推理を巡らせるホームズとは異なる。神に仕える沈着冷静なキャラであるかと思いきや、推理に行き詰った時には、話している人々を制して「天よ、助けたまえ！まだ半分しかわからない」と苦悩する姿も見せる。

　驚いたのは『青い十字架』でブラウン神父と組んだ人物が『秘密の庭』では意外な立場に身を置くことだ。てっきり二人のコンビで今後も事件を解決していくと思われたので、この展開は予想外だった。

　また、短編集で何度か登場する怪盗フランボ―も、本当に優秀な怪盗なのか疑わしい言動が目立つ、敵役としてはかなりユニークな人物だ。例えば、人の家の玄関口にある小さな牛乳缶を顧客の玄関に移すという単純作業で乳業会社を経営していたというが、手下を雇えば金が必要だから、これは単独犯だろう。しかしかける手間と稼ぐ金を比較すると、さして儲けは出ない。他にも、たった一人の旅行者を罠に誘いこむことが目的で、夜中に通りの番地を全て書き換えた（ってどういう金持ちなんだその旅行者は！）り「巨体にもかかわらずバッタのように飛び跳ねる」など、カッコいい怪盗とは程遠いエピソードが紹介されている。

　『木の歯を隠すなら森の中』など今では当たり前とされている警句やトリックが登場する短編12編を収録。



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