映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。台風が関東をそれてくれたと思っていたら朝から雨で、栃木県では鬼怒川をはじめ河川が決壊しました。電車も一部運休しています。

明日にまで響くのでしょうか。

さて今日ドキュメンタリーで今の文壇のことをやっていたのですがこちらは大正時代の文壇を扱った歴史小説です。

女人しぐれ
平山寿三郎

　明治後期〜大正から昭和にかけて共に文学の世界に身を置いた長谷川時雨（しぐれ）と大衆小説作家・三上於兎吉は、今でいう事実婚カップルで当時「ススンでる！」とまわりに思われてきた。
　時雨は歌舞伎界始まって以来の売れっ子の脚本家として人気の絶頂におり、その美貌からも何かと話題の人。そんな彼女を年下の於兎吉がどうやってくどいたかというと、これが今でいえばメール恋愛になる手紙攻勢。こちらでも進んでおりました。

　時雨は国文学に、於兎吉は西洋文学に詳しく、お互いの違う部分に惹かれるというありがちなシチュエーション。あとは若い於兎吉の押しの一手。

　そんな彼等が主役に張った本作では、関東大震災の時に「これで家が焼かれれば借金は棒引きだ！」と罰当たりな事を言っていた直木三十五。銀座でライオンと人気を二分していたカフェ・タイガーに女性を連れて豪遊していた菊地寛。「君、有名にならんといかんぜ」と言って「田園の憂鬱」で文壇に躍り出た
佐藤春男、銀座あたりをふらふらしていた永井荷風と、錚々たる面々が脇を張る。

　前作「明治おんな橋」では女性を前面に押し出していたが、本作では、ウェイトは半々。でも、相方を
サポートしつつ、自分のやりたい事もしっかり世間にアピールし、ぐいぐい実現していった時雨という女性はやっぱり魅力的なヒロイン。


《講談社》平山寿三郎女人しぐれ　【中古】afb古書 高原書店