映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。今はインターネットでラジオが聴ける時代になりましたが、
昔はラジオを片手に受験勉強に勤しんだ日々もありました。
そしてあの小さな国がロックの名曲をどんどん生み出していた時代も…。


パイレーツ・ロック
THE BOAT THAT ROCKED
出演
エマ・トンプソン　フィリップ・シーモア・ホフマン　ビル・ナイ　リス・エヴァンス　ケネス・ブラナー

監督＆脚本
リチャード・カーティス
音楽
ハンス・ジマー（ノ―クレジット）

　素行不良で高校を退学になったカールは、更正を望む母の提案で、母の旧友クエンティンのいる船に乗船。その船は、アメリカ出身のザ・カウント（伯爵）ら、クールなDJたちがロックの取締りをもくろむ政府の目を盗み、24時間ロックを流し続ける海賊ラジオ局だった。

　素行不良な少年をいわゆる矯正施設に入れるのではなく、曲者達が乗り込む海賊船に送り込むロックな母親に対して、カールの不良魂はいかにも大人しい。見るもの聞くもの珍しく、ただ受け入れるだけだったカールが突然巻き起こった父親探しや初恋を通じて自分の意思を伝えられるオトコになっていくまでを綴った成長譚。

　1960年代ザ・キンクス、ジェフ・ベック、ザ・フー、ローリング・ストーンズなど、ロックが大人気だったにもかかわらず、イギリスでは放送局がBBCしかなく、しかも流すのはクラシックばかり。そりゃあつまんないよね、と使用人や商人、学生達は、こっそりラジオで海賊局を聞く。禁じられているからこそ聞きたくなる心理も拍車をかけて、個性豊かなDJ達は一躍人気者に。そうなると一層政府は彼等を弾圧しようと躍起になる。‘政府’の画一性を際立たせるためなのか、思い思いの服装をして、それぞれ好きな音楽をかけているDJ達とは対照的に、役人達はどれも似たような服装、似たような顔をしている。‘政府’側の重鎮の一人をケネス・ブラナーが演じているが、クリスマスのクラッカーさえ小さな音で楽しむ彼の家は、船上で開かれるクリスマスパーティとはこれまた対照的。整然としているが無味乾燥でつまらない。

　フィリップ・シーモア・ホフマンがいい。アメリカ人なのに伯爵となのるフザケた男だが、恋人を寝取られた同僚のために、マスト登りチキンレースに挑んだり、タイタニックばりの遭難に臨んでも最後まで音楽を流し続けようとする。音楽に命を賭けるなんて馬鹿だけど、その馬鹿らしさがたまらないというか。場面場面にあった音楽の選曲もナイス。



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