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October 1, 2015
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みなさん、こんばんは。カレンダーもあと3枚ですね。
ちょっと夜が涼しくなってきました。でも読書にいそしむ季節になりました。
さて今日はソ連のある父娘を主人公に据えた作品を紹介します。

たった一つの父の宝物 あるロシア父娘の物語
La Fille D’un Heros de L’union Sovietique
アンドレイマキーヌ(著者),白井成雄(訳者)

私達が子供だった頃、ソ連の指導者たちの名前は覚えにくかった。とにかく長くてややこしく、そして揃って高齢者で、実に短い任期で次々変わってゆくのだ。お互いにオリンピックを一度ボイコットするなどまだ東西冷戦が続いており、ゴルビーなどという愛称で指導者を呼ぶ時代が来るとは思わなかった。グラスノスチ、ペレストロイカなどの言葉をひっさげてゴルビーが登場した時、これで世界が、いや、ソ連が良い方に変わってゆくと感じた。ところが、ロシアや旧ソ連諸国内では、彼はアメリカと並ぶ大国ソ連を崩壊させた事で非難されている。国も、国民も、なにごとも、一面から見ただけではわからない。

 物語はゴルビーが登場するさらに前、第二次大戦から始まる。17歳になったばかりのイヴァンは、母と弟をドイツ兵に殺されてパルチザンに加わり、1942年のレニングラード攻防戦で「ソ連邦英雄 金の星勲章」を受賞する。その後彼はこの勲章を得た英雄として、食糧配給で優遇され町の人の尊敬も勝ち得る。ところが彼は最愛の妻を失った事がきっかけで、荒んだ暮らしを送るようになる。

 彼には最愛の娘オーリャが残された。生まれた時から西欧の豊かさに引きつけられていた彼女は、1980年のモスクワオリンピックで西側の選手と一夜を共にしたことが委員会にばれて、通訳の仕事を紹介される。だが仕事は通訳とは名ばかりで、実際は西側の要人とベッドを共にしてスパイまがいの行為をする娼婦だった。

 イヴァンは戦場での悲惨な体験と人々が「英雄」として期待している自分の姿とのギャップや、戦争体験を忘れてゆく人々と自分の乖離に苦しむ。高給取りで海外勤務の恋人もいて、都会で人も羨む暮らしをしているオーリャもまた、「こんな事をしていいのか」と時折浮かぶ良心と、「大方の人達が窮乏生活を送るなかで自分は恵まれている」という現実との狭間で悩む。

 近親者や映像から日本の悲惨な戦後体験を聞いた身であれば「ソ連の人々は一度も負ける側に立たず、さぞやいい思いをしたに違いない」と羨望の眼差しで見つめる。しかしそのような恩恵に浴したのは、いずれの国の場合も同じく、わずか一握りの権力者達に過ぎない。いや、権力者達であっても、時には立ち場を危うくした者もいるだろう。ましてや庶民一人一人に恩恵が行き渡るような、ソ連はそんな豊かな国ではなかった。本当のソ連の姿は、歴史教科書に書かれるひとこと、ふたことではなく、イヴァン父娘の辿った人生の中にこそある。

 本作は著者の処女作であるが、出版に至るまでに紆余曲折を経ている。外国人が書いたという理由で読みもせずに作品を次々に断わられたマキーヌは、窮余の策として架空の翻訳者をでっちあげ、マキーヌという作家のロシア語作品をフランス人訳者が仏訳したという体裁にした。よって本書にも「フランスワーズ・ブール」という「訳者」の名前がクレジットされている。ここにも、外から見たソ連と実際に知る祖国とのギャップに苦しむ一人のソ連人がいる。
 


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最終更新日  September 16, 2016 03:34:23 AM
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