映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。昨日はえらく寒かったですね。そして乙武さんまで不倫。何か不倫が流行しすぎです。
何なんですかみなさん。

さて、こちらはイギリスのミステリです。

ジョン・ディクスン カー
John Dickson Carr,白須 清美 / 新樹社

悪魔のひじにつつかれて
The House at Satan Elbow

イングランド南東部にある海に突き出した平地は、「悪魔のひじ」と呼ばれる。そこに立つ緑樹館を祖父から相続したニコラス(ニック)＝バークリーは、「相続を巡って厄介事があるので、一緒に来て欲しい」と、友人の歴史家ガレット・アンダースンに頼む。何と相続話が持ち上がってから、過去に館に因縁のある人物の幽霊が出たというのだ。同行を決めたガレットは、列車の中でかつて愛した女性、フェイ・ウォーダーと再会し、激しく動揺する。しかも彼女は、これから彼等が行く緑樹館で、ニコラスの伯父の秘書として働いていたのだった。やがて彼等が目指す緑樹館に着いた時、一発の銃声が…。

最初にニックを通じて、バークリー家のねじれた血縁関係が語られる。そして次に、緑樹館の持ち主であった老判事を巡るエピソードが紹介される。ご丁寧に、なぜか「当主が年の離れた若い女性に夢中になる」という共通点つきである。この二つの前振りによって、読者の頭には、主人公であるガレット同様「何か奇妙な出来事が起こりつつある」という認識ができる。この無意識の下地のもとに、本作のメインである不可能犯罪がぶつけられると、真相を突き止めようとする読者は、物事の真相が「説明できない出来事」と「理詰めで説明すれば理解できる事」のうち、果たしてどちらの側になるのか、大いに迷う事になる。そして迷った所に、いつもの如く、利害関係の生じない部外者・フェル博士とエリオットが登場し、物語を『転』へと導く。

カーのフェル博士シリーズ。ハドリー警部の部下だったエリオットが、ここではロンドン警視庁の副警視長となって登場し、フェル博士と共に事件の捜査にあたる。

登場人物がいやにもったいぶった言い回しを使ったりするのが、ある種の犯罪が進行中にしては、えらく悠長に思えた。女性と電撃的に恋に落ち、しかる後に彼女の過去を知るため、語り手であるガレットは『死が二人をわかつまで』のディックと同じく、愛と疑惑の間を行きつ戻りつする。
ヒッチコックも愛と疑惑の間で悩む恋人達をよく登場させていたのに、なぜこの二人は組まなかったのだろう？


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