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カテゴリ:海外のミステリー&ファンタジー小説
みなさん、こんばんは。昨日も雨が降って寒かったですね。
今日は晴れるようです。 さて、こちらは『オペラ座の怪人』の原作者であるガストン・ルルーのミステリ第二弾です。 何とルルー本人が作中に登場します。 黒衣夫人の香り Le Parfum de la Dame En Noir ガストン・ルルー ハヤカワ・ミステリ文庫 『黄色い部屋の秘密』事件から2年後、ある人物から執拗にストーカーされていたマチルド・スタンガースン嬢とロベール・ダルザック氏がようやく結婚するが、参列していた弁護士サンクレールは、マチルドからルールタビーユに渡すよう手紙を託される。手紙を読んだルールタビーユは叫ぶ。 「なぜ、やつは死ななかったんだろう?やつが生きてるくらいなら、ぼくは死んだほうがましなんだ!」 冷静沈着な彼がこれほど取り乱す理由とは? さて、今回も前回同様密室殺人が起こる。舞台はエルキュール半島の城砦で、出入りは厳しくチェックされていた。前回よりも一つハードルをあげてきたのは、入ったこともない人が死んで出てくる事態。じゃあこの死体、誰? どんな難題がふりかかっても、ルールタビーユなら瞬く間に解決してくれそうだが、今回はどうも本調子ではないようだ。そう、本作は、事件を追うミステリと、ルールタビーユの出生の謎を追うミステリの二本立ての豪華版。ルールタビーユの出生の秘密にはあっと驚かされるが、この過去を探る過程で登場するのが、新聞人ガストン・ルルー。つまりはこの本の作者であり、有名になる前のルールタビーユについてルルーが書いた記事が作品中に登場する。また、第一作でルールタビーユがこだわった「黒衣婦人の香り」について、彼自身が 「それは、この世で最も上品な最も気高い、もちろん最も自然で最も快い匂いだった」 と述べる。「上品」と「自然」がどう共存するのかはわからないが、ルールタビーユにとって、何年経っても忘れられない香りであることは確かだ。香りを残して去っていた女性を追う『イヴォンヌの香り』というフランス映画があるが、フランス人は香りで人を覚えているものなのかもしれない。 さて、ホームズものをくさしつつも、意外と共通点がある本シリーズだが、今回も2つ共通点がある。1つはストーリーの重要ポイントに関わるので話せないが、ホームズの相棒であるワトソン同様、今回サンクレールも恋に落ちる。 あなたは天使なのか?その憂鬱さは本物なのか?あなたの面ざしの優しさは見せかけではないのか? と最初っからエンジン全開。人妻に恋するなんて、さすが恋愛至上主義のおフランス!と言いたいところだが、彼女の夫は別の女性に心を残しており、サンクレールが付け入る隙は充分にある。この恋の行方も気になるところだ。 さて、皆さんに一つ注意を。前作の種明かしが冒頭で全て書かれているので、決して単独では読まないように。 ガストン・ルルー (著) 出版等 早川書房 ページ数 357黒衣夫人の香り (1979年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)【中古】KSC お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
April 6, 2016 12:04:51 AM
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