映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんにちは。熊本ではやっと空の便や鉄道が動き出したようですね。
今回紹介するのはアメリカのユーモラスなファンタジーです。

モッキンバードの娘たち
Mockingbird
ショーン・ステュアート

一九九〇年代半ばのテキサス州ヒューストンで、保険数理士として優良企業に勤める30歳のトニは、母エレナの死にあたって一大決心をする。人工授精で母親になろう。大酒飲みで奔放な母はブードゥーの魔術に詳しい謎めいた女性で、〈乗り手〉と呼ばれる憑きものにつかれてしまうと奇矯な行動に走り、家族に多大な迷惑をかけていた。トニは母と全く気が合わず、不思議な能力は妹キャスリンに受け継がれていたはずだった。ところが〈乗り手〉たちが今度はトニに取り憑きはじめる。おまけに仕事も首になり、会った事もない異父姉妹の存在も明らかに。波乱含みの彼女の人生は？

　「母の死が再出発になる」と書くと、ちょっと不謹慎な感じもするが、実際仲のいい親子ばかりではない。親は子供にかつての自分を見、子供は親に自分の未来を重ね、反発してしまうこともある。それも「自分と全く似ていない」とお互いが感じていたならなおさらだ。本編のトニとエレナはちょうどそんなコンビだったので、トニは知人が母親をやたら誉めているのを聞いても全くぴんとこない。ところがごく現実的に物事を考え現実しか信じてこなかったトニが、ひょんなことから母と同じ能力を持ったことで世の中を見る視点が変わる。要は母の身になって考えることで少しずつ彼女への理解を深めていくわけですな。言いたいことはいろいろあるかえど、人それぞれいい所があるよね？というメッセージをガールズトークや石油絡みの土地テキサスっぽいエピソードを交えながら伝えており、するすると読める。


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