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May 5, 2016
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みなさん、こんばんは。昔世界史でハンニバルの事を読んだことがあります。象に乗ってアルプス越えをした猛将ですがその彼を負かしたのはまだ若いスキピオでした。では彼が何に秀でていて、ハンニバルが何に欠けていたのか?
とても興味がわきます。


ハンニバル戦争
Hannibal Secundum Bellum Punicum
佐藤賢一

中央公論新社

 教科書に載っている名称は第二次ポエニ戦争であり、本書のタイトルはその戦の別名だ。しかしこの戦いは、間違いなくハンニバルの戦争であった。物量も領土も遥かにカルタゴを凌ぎ、史上最強を誇ったローマ帝国が、彼とその一族に翻弄されたのだ。象に乗って冬のアルプス越えを行った事で知られ、ローマ帝国史上最強の敵として怖れられた彼の本名はハンニバル・バルカ、バルカとは雷光を意味する。ハンニバルの襲来は、安穏を決め込んでいたローマ帝国に、突如振り下ろされた雷と言える。

 本作は『第一部 カンナエ』『第二部ザマ』の二部構成から成り、第一部はハンニバルがローマに反旗を翻した場面で始まる。のちに彼を打ち破る好敵手スキピオは、女性の寝所にいたのを父親に引きずり出されて照れ笑いしながら皆に挨拶するという、何とも情けない登場である。彼はまだ17才、何代も続いた名家の出で、戦と聞くと単純に喜び、簡単に手柄を立てられると思っている。今風にいえばチャライ男で、ハンニバルについても「前の戦争で負かした男の息子」くらいにしか考えていない。いや、ローマ全体がそうだった。歴史を知る我々は彼等の甘さをよく知るが、こののちスキピオも含めてローマ人達は、甘く見たつけをたっぷりと払わされることとなる。

 佐藤賢一は英雄は英雄らしく、悪党は悪党らしく描くことは決してしない。むしろその逆を行き、読者に「実は小説に書かれていた事の方が本当なんじゃないか」と思わせてしまう力を持っている作家だ。だから本作においても、二人の事を、歴史書に書かれたように、天才だの知将だのといった我々凡人とはかけ離れた存在に描かない。第一部であんなに若々しくて溌剌としていたスキピオは、第二部ではまだ二十四歳というのに頭が薄くなり半病人状態になりながら、宿敵ハンニバルを倒す方法を必死に考える凡人である。また、戦においてはあれだけ知略を尽くせるハンニバルが戦いを決めた理由も、戦略的かつ政治的な意図とは程遠い凡人のものだった。だからハンニバルは、止めを刺そうと思えばいつでもチャンスがあったにもかかわらず、ある意図によりその選択を行わなかった。そのため戦争が長引き、双方の血が流された。

 第二次ポエニ戦争は、二人の名将がそれぞれ国の覇権を背負って戦うといった綺麗なものではなく、互いのトップである凡人二人が、殺し殺された十七年の間に積もり積もった復讐心をぶつけ合う凄惨なものに変わっていく。そしてその図式は、現代も世界のどこかで続く戦乱にも通じる。文明を築き技術を磨き、大義の正義のと謳いあげて戦争を始めたとしても、実の所、殺されれば復讐せずにはいられない本能―本当に抑え込まなければならないもの―を、人間は未だに飼いならすことが出来ない。


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最終更新日  May 6, 2016 08:37:02 PM
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