映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんにちは。今日は晴れていますね。
オバマ大統領が資料館を10分で出て来たことがちょっと話題になっているようですが、
大統領を退いた後にゆっくりご覧になればよいのでは。米国大統領としての責任はなくなりますが、ノーベル平和賞受賞者としての責任はありますからね。

さて、こちらはミステリです。

砂糖とダイヤモンド-コーネル・ウールリッチ傑作短篇集
The Best Stories of Cornell Woolrich


お、本日のコーヒーはおいしい。やれやれ、これで今日、一つ危険は回避した。大袈裟だって？とんでもない。トム・キーオだって、まずいコーヒーさえ飲んでなければ、店の客が何を
していようが、気にならなかったはずなのだ。

　「The Heavy Suger　砂糖とダイヤモンド」の主人公トムは、テーブルを移っては砂糖壷をかき混ぜている男に、興味を持つ。男が何回かかき混ぜている間に、彼の目的を感知したトムは悪戯心を出して、自分のテーブルの砂糖壷をかき混ぜると、あら不思議。そこに現れたのは…。
　巻き込まれ型スリラーの主人公の性格は、打てば響く頭脳の持ち主でない方がいい。そう、本作のトム君のように、何分か考えて、男の目的に気づくような。そして、とある車が前の場所と違う所に停車していても、気づかずにいるような。そうして、サスペンスという名の紐が、主人公の周りにはり巡らされ、次第に狭められて行く様を、はらはらし、じりじりし、果ては「ああもう、何やってんのよ！早く気づきなさいよ！」と心の中で叫びつつ、読む。ああ、これぞスリラーの醍醐味！
　…って、これではただのいじめっ子？ごめんね、トム君。

　悪人にとっては味方。都合の悪いものを覆い隠すから。
　善人にとっては敵。救いとなる手がかりを見えなくするから。

　二つの顔を持つ魅力的な夜と、ワルツを踊るコーネル・ウールリッチが、かっこよくてちょっとキザな表現連れは夜の闇だけでいいやあらゆる影が敵を意味する深夜のモントリオールを繰り出すものだから、あらあら、今宵もすっかり酔いがまわった。さて、コーヒーでも飲みますか。もちろん、おいしいのを。

他
「Death Sits in the Dentist's Chair　診察室の罠」
「The Corpse and theKid　死体をはこぶ若者」
「Death on Her Feet　踊りつづける死」
「Crime on St.Catherine Street　モントリオールの一夜」
「Change of Murder　七人目のアリバイ」
「The Night Reveals　夜はあばく」
「Death in the Air高架鉄道の死」「Clip-Joint深夜の約束」
収録。
原寮特別寄稿エッセイ「ウールリッチと私」と全作品リスト付き。門野集訳。


　　　　出版社　　　白亜書房　　　著者・翻訳者　　　コーネル ウールリッチ (著)　　　初版発行日　　　2002-09【中古】砂糖とダイヤモンド-コーネル・ウールリッチ傑作短篇集〈1〉 (コーネル・ウールリッチ傑作短篇集 1)KSC