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June 29, 2016
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みなさん、こんばんは。土用の丑とか花火大会とか夏休みの予定は決まりましたか?

こちらの夏はひんやりしそうです。

夏に凍える舟
Rorgast
早川書房
ヨハン・テオリン

 本作は、【時を特定しないある出来事】を描いた章、【一九三○年、夏】という、先の短い章のラストに言及された出来事について書かれた章、そして【初夏】【盛夏】【晩夏】と五つに分かれる。メインの三章は、街の富裕な家の息子ヨーナス、エーランド島シリーズを通じて登場する元船長イェルロフ、夏の間だけDJをしにやってきたリ―サ、名前が明かされない「帰ってきた男」の、複数視点で描かれる。また三つの章の中に、登場人物の名前でなく【あたらしい国】というタイトルでまとめられたセクションが挿入され、【あたらしい国】についた時点から現代へと時を進めて描かれる。

 冒頭の【時を特定しないある出来事】【一九三○年、夏】では「少年が見た幽霊船」と「墓場で棺桶を叩く音がした」という怪事が紹介され、「夏だからホラー?」と思うが、いずれも理屈で説明がつく。後者は、偶然少年時代のイェルロフが立ちあっており、そしてその時彼と言葉を交わしたゆえに、その時の彼を知る故に、イェルロフが事件に関わってゆくこととなる。

 【あたらしい国】とはどこなのか。なぜ彼等は【あたらしい国】に行かなければならなかったのか。そして「帰ってきた男」とは誰で、何をしに帰ってきたのか。こうした過去に繋がる謎が通奏低音として物語を支えている。一見リゾート客と帰省者で湧く賑やかな現在のエーランド島で、何かが起こりそうだという予感と通奏低音がいつ表に出て来るのかという緊張感を抱えながら、読者は物語の行方を追う。

 今回の主役は、北欧の人々が短い夏を謳歌する中で、心も体も凍える冬を抱えて生きる【或る男】に尽きる。主役たるイェルロフが現役の探偵でも刑事でもなく、出しゃばったりしない性格だからかもしれないが、意思の力が最も強く表れて来る登場人物は、やはり【或る男】。そして我々は、理屈ではわかっているのだ。本来なら【或る男】の行動を止めなければならない。赦されるべきことではない。しかし、なまじ生い立ちを知っただけに、情と理性の狭間でおおいに悩む。誰よりも先に読者だけに【或る男】の生い立ちを開示した作者の罠にすっかり嵌った。

 エーランド島シリーズの掉尾を飾るだけあって、派手な見せ場も用意されているが、それとは対照的なエンディングもまた静かな余韻を残す。イェルロフと同じくらいの年齢になった時に、また読み返してみたい。


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最終更新日  June 29, 2016 10:04:36 PM
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