映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。
さきほど茨城を震源地とした地震がありました。最近多くて怖いです。
大河ドラマ『真田丸』もいよいよ大詰めですね。
こちらの登場人物は大河ドラマには出てきませんでしたが、歴史上の有名人です。

全宗
火坂雅志

　著者の「黒衣の宰相」の前に書かれた、時の権力者と結びついた僧侶シリーズ第1弾。
人たらしの異名を持つ秀吉のまわりには、入れ代わり立ち代わり側近が現れますが、そんな中で秀吉の第一の側近として権力を持ち続けた施薬院全宗。彼はいったいどんな生い立ちだったのか？本書では、全宗が、家柄も金もないゼロの所から、学んで得た薬の知識を元に栄達の道を昇ってゆく様が描かれます。

　でも、生臭い事をしている割には、嫌な感じはしませんでした。「黒衣の宰相」の主役金地院崇伝に比べると、ぎらぎらした野心が薄いように見えます。スタートが40半ばと遅かったせいか、時に余裕すら見えるのです。天下という容態の安定しない患者を常に注目し、さらにその中で自分が今どの位置にあるかを冷静に見つめていた医者。そんな全宗像が目に浮かびます。

本書は伝奇ものとは違いますが、作者のバトル好きの血が騒ぐのか、甲賀忍び出身の全宗と敵とのバトルシーンをちゃんと登場させています。美女との絡みもあります。患者を生かすことを第一と考える医師の全宗に影響されて、秀吉が信長のような戦い方から一転し、被害者を出さずに勝利を収めるやり方を選ぶようになった、という推論はかなり説得力あり。死を前に恬淡としている竹中半兵衛、張り合う意志を露骨に見せた黒田如水、淀殿の愛顧を得て図に乗る石田三成等全く異なるタイプの秀吉の側近の描き分けもしっかり成されています。個人的には竹中半兵衛が好みです。




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