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カテゴリ:海外のミステリー&ファンタジー小説
みなさん、こんばんは。
天皇陛下のお言葉、重く受け止めました。 国民は、高齢でもある天皇に楽になって欲しいと思っているのではないでしょうか。 でも、国民に向かってビデオレターで語りかけるなんて、時代は変わりましたね。 さて、こちらはイギリスの古典的なミステリの短編集です。 この短編集の主人公も、物腰は柔らかく言葉遣いも丁寧です。 ブラウン神父の知恵 The Wisdom of Father Brown G.K.チェスタトン 今作には、こんな描写がある。「グラス氏の不在」で、高名な犯罪学者フッド博士を、ある人物が訪ねてくる。その時の相手の描写は 「何か巨きいけれども害はなさそうな海獣が部屋に這い込んで来たとしたら、そんな風にながめただろう。」 ちなみに訪ねてきたのは我らが主人公ブラウン神父なのだが、小柄な神父のたとえが、なぜ海獣?そして、わざわざ人間の部屋に這い込んでくるものなのか、それ=海獣は?いきなり家ごと破壊に走りそうだが。 ブラウン神父は「ひと組の男女が結婚したがっているのに母親が許さない」という相談事を持ちこんできた。「犯罪学者になぜそんな男女の色恋沙汰相談を?」と思うのだが、フッド博士は「最善の助言をする」と請け合う。するとブラウン神父は礼をいうが、この時の描写が 「ブラウンという小柄な聖職者は心から礼を言ったに違いないが、その礼は妙に簡単なものだった。喫煙室で見知らぬ人がマッチを取ってくれた時に礼を言うような態度であり、キュー植物園の園長が一緒に野に出て、四つ葉のクローバーを探してくれる(実際は、それに匹敵する好意だったのに)ことへの礼のようではなかった」 と書かれている。いや、どっちの場合も、要は好意を受けた人がどれだけ感謝しているかが問題であって、為した好意で礼の重みが違ってくるわけではないと思うよ。 更にその結婚を許さない娘の母親についてこんな事を言っている。 「我々がふつうケルト人と呼ぶ、野蛮で浮世離れした滅びつつある種族ですが、お知り合いのマクナブ家はその典型です。小柄で、色が浅黒く、夢見がちなさすらいの血が流れているケルト人は、いかなる出来事についても迷信的な説明をたやすく信じてしまう。」 この言い方ひどいなぁ、ケルト人ってもともとこの土地に住んでた人達ですよ。 ブラウン神父が何だか偏見に満ちた嫌な人に描かれているようなので、アゲポイントを探してみた。すると、ブラウン神父の無心に怪盗として登場したフランボー(今は探偵)が、最近アメリカで発明されたという、嘘発見機の初期バージョンの話をする『機械の誤り』に行きあたった。 ちなみに、嘘発見機に対するブラウン神父の感想はこうだ。 「科学者というのは、何という感傷家だろう!しかも、アメリカの科学者はとりわけ感傷家に違いない!心臓の鼓動から何かを証明しようだなんて、ヤンキー以外の誰が思いつくかね?女性が顔を赤らめたら、自分に恋していると思い込む男と同じくらい、おセンチじゃないか。」 「うわ、科学捜査に喧嘩売ってるよ!と思ったら、こんな台詞が重ねて述べられていた。 信頼できる機械は、いつでも信頼できない機械が動かさねばならないのですよ。“人間”のことを言ってるんです」 と、やっとまともなことを言ってくれた。 そうそう、どんなに優れた機械や技術ができても、それをどう活用するかを考えるのは、人間なんです。まるで、来るべき第二次大戦や、その後の大量破壊兵器が出現する時代を予見するような台詞に、やっとブラウン神父の共感ポイントを見つけましたよ、やれやれ。 他、タイトルのダブルミーニングが効いている「The Paradise of Thieves盗賊の楽園」翻訳者がお気に入りらしい「The Duel of Dr.Hirschイルシュ博士の決闘」など全12篇を収録。 ブラウン神父の知恵ぐるぐる王国DS 楽天市場店 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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