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みなさん、こんばんは。オリンピックの陸上400メートルリレーすごかったですね。ウサイン・ボルトの最後のリレーに日本も隣で走ったんだ！

こちらは一風変わった探偵のお話です。

宇宙探偵マグナス・リドルフ
(ジャック・ヴァンス・トレジャリー)
Jack Vance Treasury Magnus Ridolph
ジャック・ヴァンス

　資金の運用先が数ヶ月前に破綻して破産宣告が目前の宇宙探偵マグナス・リドルフは、道徳的価値観保存機構から、惑星ココドで行われている合戦賭博を辞めさせるよう依頼される。この星の先住民でもあるココドの戦士は戦いをせずにはいられない性分で、戦いをやめるよう勧告されると、ばたばたと流行病で死んでいった過去があった。彼等の戦闘をオッズをつけて賭けの対象にして観覧させ星の観光の目玉に据えている人物こそ、リドルフを破産させた資金の運用先の責任者だった！

　探偵とあって、リドルフは結構理不尽な目や、生命に危険が及ぶ目に頻繁に遭う。ところが彼は常に冷静に魑魅魍魎の異星人たちと渡り合い、時に異星人達よりももっと食えない依頼者達に、容赦なき鉄槌を下す。この「鉄槌」が必ずしも「正義の鉄槌」ではない所が面白い。「良心や正義がある」従来のハードボイルド探偵に抱くヒーロー幻想を小気味よく崩していくマグナス・リドルフは、誰に嫌われようと星が一つ潰れようと意に介さず、飄々と未知なるフロンティアを旅する。いかにも友達が一人もいなさそうなキャラだ。

　白髪白鬚の老紳士。「お、新たなイケ爺登場か？」と息巻くが「数学者という触れ込みにも関わらず、懲りずに手堅い投資に何度も失敗」というツッコミ所もポイントだ。冷静沈着な数学者なら、確率に敏感であるはずなのに！まあ、宇宙は、地球感覚の数学では測れない不確定要素が多い場所ということにしておこう。
　1950年代に発表された本シリーズでは、リドルフが情報収集に携帯端末を利用し、携帯で動画撮影や計算をしている姿が描かれる。「をを、あの頃見た未来が現実に！」と感動を噛みしめる読者もいるかも。

　「ココドの戦士The Kokod Warriors」「禁断のマッキンチThe Unspeakable McInch」「蛩鬼乱舞The Howling Bounders」「盗人の王The King of Thieves」「馨しき保養地The Spa of the Stars」「とどめの一撃Coup de Grace」「ユダのサーディンThe Sub-standard Sardines」「暗黒神降臨To B or Not to C or to D」「呪われた鉱脈Hard Luck Diggings」「数学を少々Sanatoris Short-cut」全10篇収録。


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