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みなさん、こんばんは。
昨日は台風の中送別会で疲れました。 でも今日が休みなのでちょっと疲れが取れそうです。 この本も読むと疲れがとれそうな内容です。 ちいさな桃源郷 池内 紀 幻戯書房 「さあ、私はこんな事が書けるんですよ、どうですか。凄いでしょう。」 「僕はこんな文章も書けるんですよ、素晴らしいでしょう。」 書かれた内容を認めて欲しいというより、書いた自分を褒めて欲しい。 ページをめくった途端、こう言いたげな文章とぶつかると、読む気が失せてしまう。 けれど、池内紀氏と最初に出会った著書『二列目の人生』の文章は、その反対だった。 ここに登場する「第二の宮沢賢治」「第二の南方熊楠」と称された人々は、打ちこんだ分野において、既に名が知れた一列目の人がいたために、広く語られる事がなかった。しかし、当の本人達は、その二列目というポジションを、決して嫌がっていなかった。また著者も、そんな彼等を「不運にして二列目と位置づけられたけど、健気に生きた」と美談風に綴る事をしなかった。あるがままの彼等の生き方を、何の気負いもなくすくいとった。そんな印象だったので、読んでいても、その後も、とても気分が良かった。こういう人が選ぶ文章なら、読んできっと清々しい気持ちになるに違いない そう思ったから、山の文芸誌『アルプ』に馴染みがなかったにも関わらず、氏が選んだ33篇のエッセイが収録された本書を手に取る事を、少しもためらわなかった。 「人に知られず、どこかにひっそりと埋もれているつつましい山、かわいらしい山、静かな山(中略)他のどの山よりも深い愛着を抱いている山」と手放しで「カッパ山(筆者命名)」を褒める研究者の文章には、思わず笑みがこぼれ、「あむばあ」「うむばあ」という謎の生物が登場するIII章を担当した版画家の文章には、「まるで宮沢賢治の童話『やまなし』みたい!」と、かつて使った教科書を引っぱり出したくなる。『黒沢小僧の話』に出てくる「小豆ばばさ」は京極夏彦氏の『巷説百物語』に登場する「小豆洗い」のバリエーションかもしれないと想像する。後書きに氏が書かれているように、「大仰な言葉、大仰な感情、臆面もなく私情を披露したものを省いた」ため、それぞれの個性が出ていても、筆者のアクが強くて読みにくい文章は一つもなかった。子供でもその名を知っている椋鳩十から、アイヌ文化研究家、会社員。筆者それぞれの視点から、それぞれの言葉で、「自分達のとっておき」を率直に語っていた。 読み終えて、はて自らの桃源郷はと考えた時、三峡ダムで水没する前の白帝城に昇る途中で見た、満天の星を思い出した。星空の素晴らしさを訴える写真家の文章「蒼い岩棚」で筆者が書いていたように、手を伸ばせば届く所に星が見える、まるで花畠のような空だった。 筆者が見た星空も、あの星空を見た山道も「文化のない文明の洪水(p184)」に飲みこまれてしまったが、一万年もほんの瞬間でしかない永劫の時間を生きる自然は、百年そこそこしか生きぬ人間よりもはるかにしぶとく、たくましい。「ボンヤリしていて、宝物が目の前に落ちていてもわからない(p86)」なんて事のないように、素直に心を開いていれば、「われわれの住むところの、ほんの少し先に(p267) 」桃源郷は、ふっと姿を現すかもしれない。
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最終更新日
September 22, 2016 12:17:12 AM
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