映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。
休みを取ったので残業をしてきました。
ちょっと疲れています。今週は短い勤務日数で疲れました。
さて、こちらは有名なイギリスの都市伝説をからめたスチームパンク小説です。

バネ足ジャックと時空の罠（上）
TheStrange Affair of Spring Heeled Jack
マーク・ホダー
創元海外SF叢書

表紙には、シルクハットにステッキを持ち、マントを羽織った男性が、後方で青い雷を発する不思議な存在に驚いて振り返っている姿が描かれている。この男性こそイギリス人士官リチャード・バートンであり、ナイルの水源を巡って探検家のジョン・スピークと争っていた。ところがある日、スピークが銃で自殺したと聞き動揺する。そして竹馬に乗った「ばね足ジャック」が、怪しい光と共にジャックの前に現れ、意味不明の言葉ばかりぶつけて姿を消す。更に、当代のイギリス首相パーマストン郷から、王室直属の密偵として、帝都に出没する人狼を見つけ出すよう命じられた彼は、親友の詩人スウィンバーンと共にこの世ならぬ存在を追うが…。

　もうひとつの英国が舞台のスチームパンク小説で、ヴィクトリア女王は暗殺されたことになっており、夫のアルバートが即位している。他にも蒸気馬車が闊歩したり、気送交通方式を使ったパイプの中を走る電車が登場する。また、優生学も発達しており、タイトルに挙げたような奇妙な生物も登場。キム・ニューマンの『ドラキュラ紀元』といい、スチームバンクはヴィクトリアと相性がいいのかもしれない。

　探偵役を務めるリチャード・バートンの業績と性格はほぼ史実をなぞっている。彼の助手を務めるのは、アルジャーノン・スウィンバーン―こちらも実在の詩人だ。実際にM気もあったらしい彼が、出会う度に傷だらけになるバートンを見て嬉しそうな表情をする所が笑える。このように実在した人物が多数登場し、中には当時はチョイ役だったが大人になって大化けするキャラクターもいる。知らない人物については下巻に消息がまとめて述べられており、わかりやすい。
　
　しかし、ばね足ジャックはどう見てもリチャード・バートンの「寝た子を起こした」感が否めない。見るからに怪しく登場したあげく「俺をほうっておけ」なんて、あのような謎めいた言葉を投げかけられれば、もともとアドベンチャー好きなリチャードのこと、火に油を注ぐ結果になるのはわかっていたろうに。まあ、そうなってくれないと物語が進んでくれないのだが。


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