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カテゴリ:日本の作家が書いた歴史小説
みなさん、こんばんは。日本シリーズ第三戦、黒田選手の登板ですね。
ところで江戸時代、堕胎は罪でした。しかし苦しむ女性達に手を差し伸べるのもまた女性でした。 恋ほおずき 諸田玲子 表紙は女性がほおずきを持っている絵。 ちょうど題字で顔が隠れている。果して女性は、ヒロイン江与か、それとも町の娘か。どちらが持っているかで、ほおずきの使いみちは異なる。娘や子供は、ほおずきの実を鳴らして遊ぶ。女医者の江与は、ほおずきの根をすりおろして堕胎の薬にする。だから江与は、決して出入りする少年・平吉に、ほおずきを取る手伝いをさせない。子供に、子供を殺す手伝いを、知らずとさせる事になるから。ほおずきの根の使い道も、堕胎を行う女達の現実も、自分ひとりの胸におさめる。江与は、そう心を決めている。 中條流の女医者として、古医方の父親と同じ家の裏側で、暖簾を掲げて業を営んでいる江与は、かっぱらいの子供・平吉が捕まった場面に居合わせる。そこで彼女は、北町奉行所の定廻り同心津田清之助と出逢う。天保の改革で贅沢禁止令が出され、女髪結い、音曲の女師匠に続き女医者への取り締まりも成されようという中、最悪の出逢いである。 「子堕ろしは人殺しだ。命の芽を摘み取る事だ。」 と清之助が言えば、 「子を流さねば生きられぬ者の苦しみを御存じない故きれいごとを言う。」 と江与。 事件を横糸に、立場を異にする二人の交情を縦糸に綴られる物語は、こうして始まった。 店を持つために日々精進する手代の子を孕んだ奉公人の娘、相思相愛の男の子を身ごもる吉原の花魁、女癖が悪く贔屓の女性を何人も騙しては関係を持っていた役者の子を身ごもった武家の奥女中。それぞれ立場も状況も異なる女性達は、「妊娠は私だけの問題じゃない。」と、相手に対して責任を果たすよう要求する時代には、生きていない。そのため彼女達は、「生まない」という辛く重い決断を、たった一人でしなければならない。そうして下した結果の堕胎も、今に比べれば、命がけだ。彼女達の肉体的・精神的辛さを、身にしみて知っている江与は、実情をよく知りもしないで考えを述べる清之助を、ほおずきの見える部分=実しか見ない男、つまりは女の都合のいい所しか欲しない男の代表格と見て、最初は激しく反発する。しかし清之助も、知友の妻が、無体な事情で妊娠するに至り、ようやく机上の論理から離れて「夢も現も一緒に飲む」ようになる。 堕胎の是非が問われてきた本作だが、結局結論は出ていない。妊娠の事情が様々だから、法律で一律に禁じるのは間違っている事は、女性達の事例で明らかだ。だが、法律で全く取り締まらなくていいというスタンスでもない。妊娠及び堕胎が人目を忍ぶ事情であれば、恐喝や強請りに悪用され、更なる苦しみを味わう女性もいるからだ。弱者にたかる悪者を取り締まるためには、法律もやはり必要である。 ただ、公の立場で法律を定めるとしても、杓子定規で、現状に即しない法律では、かえって悩める人々の希望を摘んでしまう。異なる事情を斟酌した上で、それぞれの女性が、自分一人だけで悩みを抱える事なく、信頼できる相手と共に、最も望ましい決断を下してゆくことが望ましい。物語からは、そんな主張が感じられた。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】恋ほおずき [ 諸田玲子 ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
October 26, 2016 04:04:54 AM
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