映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。フィデル・カストロが亡くなりました。
あのチェ・ゲバラと同時代を生きた人でこの人も激動の時代を生きました。
きっとこれから伝記やら映画やら作られるのではないでしょうか。

さてこちらはチェスタトンの人気シリーズ、ブラウン神父が活躍する短編集です。

ブラウン神父の醜聞
The Scandal of Father Brown
ギルバート・キース・チェスタトン
創元推理文庫

トロイのヘレンに比されるような美貌の持ち主で、一流新聞記者からもコメントを求められるアメリカ人女性ハイペシア・ポター。既婚者の彼女には、スペイン系のアメリカ人で詩人のルーデル・ロマーニズとロマンスの噂があった。かねてから「ロマンスなんか大嫌い」宣言をしていた『ミネアポリス流星』の記者エイガー・ロックは、その前に二人の逢瀬を目撃していた事もあって、とあるホテルで出会ったハイペシアに「あんな芝居がかった男とは別れた方がいい」と助言する。取りあってくれない彼女に気持ちがおさまらなかった彼は、ハイペシアの夫が「あの男をホテルに入れるな」と従業員に命じていたとブラウン神父に告げる。そしてその夜、ロックは思いがけない現場を見てしまい…。タイトル作「The Scandal of Father Brownブラウン神父のスキャンダル」の教訓は、ブラウン神父も言っているが「人は見た目を信じる」ということだ。現代のマスコミにあたるエイガー・ロックは南欧人に偏見を抱いており、宗教が絡んだ(と思われる)殺人事件では、｢The Quiet One手早いやつ｣がブラウン神父どんな殺人事件もおろそかに扱ってはならないと熱く語り、冤罪にされそうな容疑者を救う。

　ところで、「ブラウン神父のスキャンダル」に登場するルーデル・ロマーニズに関する描写に「この男、何かと言えば彗星にたとえてよいタイプで、それほど毛が(彗星のしっぽのように)ふさふさとしていて、人柄がまた熱っぽかった。(中略)この彗星のしっぽは、彼氏と離婚した女たちの一つながりというわけで」というのがある。ラテン系だから毛深いというのはわかっても「女性関係の華やかさ＝関係の多さ　抽象的な意味」と「肉体的特徴である毛深さ＝実際の毛の多さ　具体的な意味」を、空を横切る彗星でひとくくりに例えるのはちょっと無理がある。

　ほか、アーサー・コナン・ドイツ郷を模した人物が登場して開けば人が消えてしまう本の謎に挑む｢The Blast of the Book古書の呪い｣、｢The Green Man緑の人｣｢The Pursuit of Mr.Blueブルー氏の追跡｣｢The Crime of the Communist共産主義者の犯罪｣｢The Point of a Pinピンの意味｣｢The Insoluble Problemとけない問題｣｢The Vampire of the Village村の吸血鬼｣収録。収録作品の多くはチェスタトン晩年の筆でブラウン神父最後の短編集。


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