【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

映画・海外ドラマ・本 ひとこと言いた~い

映画・海外ドラマ・本 ひとこと言いた~い

カレンダー

コメント新着

お気に入りブログ

ファンシー・ダンス New! ジャスティン・ヒーハーフーさん

台風つづく ちーこ♪3510さん

父との別れ。 天野北斗さん

松河屋老舗☆ fujiうさぎ=^・^=さん

憂きも一時 小烏丸の”てる”さん

プロフィール

hoshiochi

hoshiochi

キーワードサーチ

▼キーワード検索

全て | 料理&お菓子&旅&演劇&その他2 | フランス映画 | 韓国ドラマ・赤と黒(ナップンナムジャ) | その他の地域の映画&ドラマ | アメリカ映画 | 韓国映画 | 真田広之 | 韓国ドラマ | アメリカドラマ | その他のジャンルの日本の小説 | 日本のミステリー小説 | イギリスドラマ | よしながふみ漫画&ドラマ&映画大奥 | 漫画・アニメ | 日本ドラマ | 中国&台湾映画 | 日本の作家が書いた歴史小説 | 海外のノンフィクション・エッセイ・その他のジャンル | 東欧・ロシア映画 | イギリス&アイルランド映画 | オランダ映画&オランダドラマ | 北欧映画 | その他のジャンルの海外小説 | 日本の絵本・童話・児童書・ティーンズ小説 | 日本作家によるノンフィクション&エッセイ・その他のジャンル | 日本映画 | 海外の絵本・童話・児童書・ティーンズ小説 | カナダの映画&ドラマ | ドイツ映画&ドイツドラマ | 日本のファンタジー小説 | 海外のミステリー&ファンタジー小説 | 堺雅人 | 日本ドラマ:歴史ドラマ&時代劇 | 三浦しをん:まほろ駅前シリーズ | 山田風太郎 | 香川照之 | 松山ケンイチ | 海外の作家が書いた歴史小説 | ジェイク・ギレンホール | イギリスドラマ:SHERLOCK | 塩野七生 | 吉田鋼太郎 | イタリア映画&イタリアドラマ | ローズマリー・サトクリフ | 大杉蓮 | ベネディクト・カンバーバッチ | インド映画 | 長谷川博己 | 内野聖陽 | 林遣都 | ムロツヨシ | ジョシュ・オコナ― | 井浦新 | 菅田将暉 | ディーン・フジオカ | 台湾ドラマ&中国ドラマ
December 22, 2016
XML
みなさん、こんばんは。冬至ですね。これから昼が長くなっていくのでしょうが、まだまだ寒い日が続きますね。今年もあと10日足らずになりました。
さて、今日も 宇江佐 真理さんの作品を紹介します。


玄冶店の女 (幻冬舎文庫)/ 宇江佐 真理


なにごとの おわしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる
(西行)

 西行のような元武士の僧が、目の前で頭を下げ、「かたじけない。」と言ったなら、
「え、そんな、滅相もない。頭をお上げなすって下さいよ。」と恐縮しておろおろしただろうが、
玄冶店の4人の女性達に、
「おかたじけだねぇ。」
と言われたら、
「あいよ。」
と首を振り向けて、その後の話がはずんだろう。
同じ意味でも、言い方で、だいぶん感じが違うものだ。

 この「おかたじけ」、普通は目上から目下の者に向かって言う時に使われる言葉だが、江戸・日本橋の「玄冶店」通りに住む、すっかりお馴染みの4人ーお玉、お喜代、お花、小梅ーの間では、それほど厳密には、この決まりごとが守られていない。大体、そんな堅いおつき合いじゃない。とはいえ、いくら芸妓屋「志の田」の娘で、多少大人の事情に通じているおませさんでも、一番年下の小梅が、一番年上のお玉に「おかたじけ。」と言う事はない。彼女は一番「おかたじけ」を言ってもらう方だ。

 そして一番この言葉を多く言うのは、本篇の主人公、小間物屋「糸玉」を営む元・花魁のお玉である。大店の旦那と縁も切れ、子供のいないお玉は「すごおく」が口ぐせの小梅が可愛くてたまらない。つい甘やかして、小梅の三味線と踊りの師匠・お喜代に叱られる。でも、お喜代にしても、小梅が憎たらしくて、厳しくあたっているわけではない。風呂場で小梅の悪口を聞くと、出ていって深川仕込みの
啖呵を切り、「さっすが元辰巳芸者!」と一声かけたくなるような、鮮やかな仇討ちを
やってくれる、頼もしいお姐さんだ。薬種問屋の妾・お花は、時には小梅と本気の喧嘩もするような、年令のわりには子供っぽい女性だ。旦那がいながら、間夫の役者・五六八と相愛で、何だか見ていて危なっかしい。けれどそんな彼女でも、いなくなった子猫を探してきてくれた時には、ちゃんと小梅に
「おかたじけ。」と言う。

 誰かが熱くなれば、誰かが冷ます。少々の行き違いや、きつい言葉の応酬も、お互いに歩み寄れば、元通り。皆が賑やかに正月を祝う中、妾宅の多いため逆にひっそりしてしまう玄冶店で、共に日陰の暮らしをしてきたからなのか、血の繋がりはなくても、彼女達の絆、互いを思う心はとても強い。ある時は、相手のためを思って、何も言わず見守る。またある時は、あえて、きつい言葉で目を覚ますよう説く。でも、いずれの時も、本当に、相手のためを思えばこその行動だ。その気持ちがちゃんと通じているから、相手は心の中、あるいは言葉で「おかたじけ。」と言っている。その声を聞き取った相手も、やっぱり笑ってこう言う。「あいよ、おかたじけ。」
この玄冶店には、「おかたじけ」が、涙と恋の思い出の数だけ積もっている。

「玄冶店」「虫籠窓」「鈴虫」「残菊」「ゆず湯」「女正月」「如月」「桜雨」収録の連作短篇集。



【中古】玄冶店の女 (幻冬舎文庫)/ 宇江佐 真理
エイシンドウ 楽天市場店






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  December 22, 2016 12:03:34 AM
コメント(0) | コメントを書く
[日本の作家が書いた歴史小説] カテゴリの最新記事


PR


© Rakuten Group, Inc.