|
全て
| 料理&お菓子&旅&演劇&その他2
| フランス映画
| 韓国ドラマ・赤と黒(ナップンナムジャ)
| その他の地域の映画&ドラマ
| アメリカ映画
| 韓国映画
| 真田広之
| 韓国ドラマ
| アメリカドラマ
| その他のジャンルの日本の小説
| 日本のミステリー小説
| イギリスドラマ
| よしながふみ漫画&ドラマ&映画大奥
| 漫画・アニメ
| 日本ドラマ
| 中国&台湾映画
| 日本の作家が書いた歴史小説
| 海外のノンフィクション・エッセイ・その他のジャンル
| 東欧・ロシア映画
| イギリス&アイルランド映画
| オランダ映画&オランダドラマ
| 北欧映画
| その他のジャンルの海外小説
| 日本の絵本・童話・児童書・ティーンズ小説
| 日本作家によるノンフィクション&エッセイ・その他のジャンル
| 日本映画
| 海外の絵本・童話・児童書・ティーンズ小説
| カナダの映画&ドラマ
| ドイツ映画&ドイツドラマ
| 日本のファンタジー小説
| 海外のミステリー&ファンタジー小説
| 堺雅人
| 日本ドラマ:歴史ドラマ&時代劇
| 三浦しをん:まほろ駅前シリーズ
| 山田風太郎
| 香川照之
| 松山ケンイチ
| 海外の作家が書いた歴史小説
| ジェイク・ギレンホール
| イギリスドラマ:SHERLOCK
| 塩野七生
| 吉田鋼太郎
| イタリア映画&イタリアドラマ
| ローズマリー・サトクリフ
| 大杉蓮
| ベネディクト・カンバーバッチ
| インド映画
| 長谷川博己
| 内野聖陽
| 林遣都
| ムロツヨシ
| ジョシュ・オコナ―
| 井浦新
| 菅田将暉
| ディーン・フジオカ
| 台湾ドラマ&中国ドラマ
カテゴリ:日本の作家が書いた歴史小説
みなさん、こんばんは。冬至ですね。これから昼が長くなっていくのでしょうが、まだまだ寒い日が続きますね。今年もあと10日足らずになりました。
さて、今日も 宇江佐 真理さんの作品を紹介します。 玄冶店の女 (幻冬舎文庫)/ 宇江佐 真理 なにごとの おわしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる (西行) 西行のような元武士の僧が、目の前で頭を下げ、「かたじけない。」と言ったなら、 「え、そんな、滅相もない。頭をお上げなすって下さいよ。」と恐縮しておろおろしただろうが、 玄冶店の4人の女性達に、 「おかたじけだねぇ。」 と言われたら、 「あいよ。」 と首を振り向けて、その後の話がはずんだろう。 同じ意味でも、言い方で、だいぶん感じが違うものだ。 この「おかたじけ」、普通は目上から目下の者に向かって言う時に使われる言葉だが、江戸・日本橋の「玄冶店」通りに住む、すっかりお馴染みの4人ーお玉、お喜代、お花、小梅ーの間では、それほど厳密には、この決まりごとが守られていない。大体、そんな堅いおつき合いじゃない。とはいえ、いくら芸妓屋「志の田」の娘で、多少大人の事情に通じているおませさんでも、一番年下の小梅が、一番年上のお玉に「おかたじけ。」と言う事はない。彼女は一番「おかたじけ」を言ってもらう方だ。 そして一番この言葉を多く言うのは、本篇の主人公、小間物屋「糸玉」を営む元・花魁のお玉である。大店の旦那と縁も切れ、子供のいないお玉は「すごおく」が口ぐせの小梅が可愛くてたまらない。つい甘やかして、小梅の三味線と踊りの師匠・お喜代に叱られる。でも、お喜代にしても、小梅が憎たらしくて、厳しくあたっているわけではない。風呂場で小梅の悪口を聞くと、出ていって深川仕込みの 啖呵を切り、「さっすが元辰巳芸者!」と一声かけたくなるような、鮮やかな仇討ちを やってくれる、頼もしいお姐さんだ。薬種問屋の妾・お花は、時には小梅と本気の喧嘩もするような、年令のわりには子供っぽい女性だ。旦那がいながら、間夫の役者・五六八と相愛で、何だか見ていて危なっかしい。けれどそんな彼女でも、いなくなった子猫を探してきてくれた時には、ちゃんと小梅に 「おかたじけ。」と言う。 誰かが熱くなれば、誰かが冷ます。少々の行き違いや、きつい言葉の応酬も、お互いに歩み寄れば、元通り。皆が賑やかに正月を祝う中、妾宅の多いため逆にひっそりしてしまう玄冶店で、共に日陰の暮らしをしてきたからなのか、血の繋がりはなくても、彼女達の絆、互いを思う心はとても強い。ある時は、相手のためを思って、何も言わず見守る。またある時は、あえて、きつい言葉で目を覚ますよう説く。でも、いずれの時も、本当に、相手のためを思えばこその行動だ。その気持ちがちゃんと通じているから、相手は心の中、あるいは言葉で「おかたじけ。」と言っている。その声を聞き取った相手も、やっぱり笑ってこう言う。「あいよ、おかたじけ。」 この玄冶店には、「おかたじけ」が、涙と恋の思い出の数だけ積もっている。 「玄冶店」「虫籠窓」「鈴虫」「残菊」「ゆず湯」「女正月」「如月」「桜雨」収録の連作短篇集。 【中古】玄冶店の女 (幻冬舎文庫)/ 宇江佐 真理 エイシンドウ 楽天市場店 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
December 22, 2016 12:03:34 AM
コメント(0) | コメントを書く
[日本の作家が書いた歴史小説] カテゴリの最新記事
|
|