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カテゴリ:海外のミステリー&ファンタジー小説
みなさん、こんばんは。雪が降ってセンター試験大変でしたね。
何年前のことだろう。 そして雪がしんしんふりつもる世界は、まさにこの本のタイトルのようです。 闇と静謐 The Dead are Blind マックス・アフォード 沢山の眼が鍵穴を見つめている表紙絵。こうして見ると一つ一つの眼にも特徴がある。疑いの眼、悲しそうな眼。さて、なぜ彼等は鍵穴を見つめているのか? ラジオ黎明期のイギリス、ロンドン。BBC新社屋完成記念のイベントとして行われたラジオドラマ「暗闇にご用心」の生放送中、新進女優のメアリ・マーロウが突然亡くなった。彼女は財産家の叔母を持つアンドリューの口利きで今回のドラマに抜擢された。彼女の代わりに役を降りた脚本家キャスリ―ン・ノウルズ、ベテラン女優でドラマに文句を言って騒ぎを起こすオルガ・ルシンスカ、彼女をごり押ししてキャストに入れたプロデューサーのカール・フォン=ベスケ、怪しい人物が浮かび上がる中で、偶然ドラマを見学に来ていたイギリス数学者にして素人探偵のジェフリー・ブラックバーンと同居人のスコットランドヤード犯罪捜査課のウィリアム・ジェイミソン・リード首席警部が事件に取り組む。 『百年祭の殺人』『死を呼ぶ殺人』でコンビを組んだジェフリー・ブラックバーンと賄い付きアパートでルームシェアをしているスコットランドヤード犯罪捜査課のウィリアム・ジェイミソン・リード首席警部のシリーズ。ルームシェア&探偵コンビ、ロンドンとくればあの有名な二人組(カップルか?)が想起されるが、ジェフリ―とリード警部との間に親子ほどの差があるため、本家本元の彼等のような喧嘩っぽいやり取りには発展しない。メインの探偵役であるジェフリーがあれこれと引用し、時にからかう様な素振りを見せても、リード首席警部が動じないためである。親子が探偵役を務める「エラリー・クイーンの国名シリーズに似ている」というレビュアーの意見もある。とはいえ、記念式典への招待状を貰って「公務についているからそういう催しにはいけない。ましてやジェフリ―が偏見を持ってて」と行きたい気満々のリードと、そんな彼の本心を察して「今回は‘ラジオなんてつまんない’の主義を曲げて行ってもいいですよ」と助け舟を出すジェフリーというシーンには、年齢が逆転したかのような感があった。 冒頭、彼等がひとくさり毒殺事件について語り「この世には判別できない毒物があるのか?」という物騒なテーマを語っているので、「おっ、今回のテーマはこれだな?」という前振りを感じる。ところが遭遇した事件は密室殺人で、おまけに鍵は被害者が最後に閉めていた!という縛りつき。「なぁんだ、フェイクだったのか」と安心して読んでいると…という風に、読者心理を揺さぶって来る。 「犯罪推理なんて、呆れるほど古くさいわ。今はね、殺人犯の正体を明かすことより、その正体を前もって知っていて…犯人であることを証明する知恵比べを見るほうが、ずっとわくわくするじゃない。殺人犯がわかったら客観的な目を持ち、犯人が行方をくらまし、足取りを消し、いろんな手を使って警察をやり込める様子が見物できるわけ。これぞ現代犯罪の醍醐味というもの!」 という作中人物からのエールに、二人は応えられるのか? 闇と静謐 [ マックス・アフォード ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
January 16, 2017 12:05:03 AM
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