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カテゴリ:イタリア映画&イタリアドラマ
みなさん、こんばんは。天気がくるくると変わりますね。
ちょっと風邪気味です。みなさんはいかがですか。 さて、今日は凄腕の鑑定人が騙される話です。 鑑定人と顔のない依頼人 LA MIGLIORE OFFERTA/THE BEST OFFER イタリア映画 出演 ジェフリー・ラッシュ ドナルド・サザーランド フィリップ・ジャクソン 監督&脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ 音楽 エンニオ・モリコーネ 天才的な審美眼を誇る美術鑑定士ヴァージル・オールドマンは、資産家の両親が遺した美術品を査定してほしいという依頼を受ける。屋敷を訪ねるも依頼人の女性クレアは決して姿を現さず不信感を抱くヴァージルだったが、歴史的価値を持つ美術品の一部を見つける。その調査と共に依頼人の身辺を探る彼は…。 美術品の真贋を見分けることには長けていても、人間の真贋を見極めることは難しい。人は所詮、見たい事しか見ないし、聞きたいことしか聞こえない。だが他人がそうなっている状態はよく見える。 ずっとヴァージルは優れた傍観者だった。だからこそ優れた鑑定士たりえた。しかし謎めいた女性と出会ってから、彼の信念が揺らいでいく。それほどに、彼女との出会いは衝撃だった。あれほど沢山の女性の肖像画を見てきたのに、彼の見て来たものはあくまで外見。生きて動いている若くて美しくて世間のどこに出しても恥ずかしくないような女性クレアは、次に何をするか全く予想がつかない。怒って仕事を断ったかと思えば、次の瞬間に泣き崩れてすがってくる。ただ一人自分だけを頼ってくれている。男性にとって最も心地の良いスタンスに置かれたヴァージルが、深みにはまって行くのもわかる。だがそれは同時に、第三者から見れば、ヴァージルが彼女以外のものに対して鈍化していくことでもあるのだ。だから映画を外側から見ている私達は次第に気づく。このシチュエーション、どこかおかしい、と。 いくつも行く先に対する警句は散りばめられている。ヴァージルに依頼されてオートマタを造るロバートの「部品は人間みたいなもの 組み合わさってくると本当の姿が見えてくる」という台詞。長年の相棒ビリーはもっと露骨だ。「Everything can be faked, Virgil. Joy, pain, hate... illness, recovery. Even love.何度も偽装できるのだ 喜び 悲しみ 病気 回復 愛さえも」気心の知れた友人である彼等がヴァージルに‘あなたの見ているものは真実なのか ようく見るといい いつも美術品を鑑定しているみたいに’とでも言いたいように見える。 最後にヴァージルは思い出の場所に向かう。「お一人ですか?Are you on your own, sir?」と尋ねたウェイターに「いや 連れを待っているNo, I'm waiting for someone.」と応える。彼は偽りを暴くことより、真実を探す方を選んだのだろう。きっと彼は、もう鑑定士はやらない。 鑑定士と顔のない依頼人 [ ジェフリー・ラッシュ ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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