映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。FBI長官の突然の解任はびっくりしました。
そういえば朝の電車が遅れたのですが、どうやら痴漢が原因だったようです。線路を逃げたために電車が止まらざるをえなかったとか。迷惑ですね。


映画のメトシエラを見ました。

369のメトシエラ

　　区役所の区民課に勤める武田俊介は、一つの町に定住せず引っ越しを繰り返している。友人はおらず、行き倒れていたところを救った若い男がただ一人の友人だった。

　その日、古いアパートに引っ越した俊介の耳に、隣室からふしぎな唄が聞こえ始める。日々繰り返し聞こえてくる子守唄のようなその唄に、やがて俊介は引かれ始め、そしてつき動かされるように隣室を訪ねる。

　隣室には老婆がひとり住んでいた。

　訪ねてきた俊介に老婆は思いもかけない一言を告げる。「自分は400年の長きを生き、唄にひかれる人間を待っていた。そして、その人間が現れたとき、自分はその人に添い遂げる」と。

　一人暮らしの高齢者であることから認知症の疑いを持った俊介は、老婆の身元を探す。ところが、この老婆には、一切の公的な記録のない、どこにも存在しない人間だった…

　メトシェラを知らない方のために解説を加えておくと、女性ではない。旧約聖書に登場する伝説の人
で、ノアの祖父にあたり、969歳まで生きたと言われている。今回の映画では｢400年待っていた｣と老婆が言ったところから、彼女にメトシェラを仮託しているようだ。

　俊介を始め、誰も社会との繋がりを持っていない。どこの誰だかわからない老婆がアパートに住んでいても家主は知らない。おそらく彼女が死んだ時に身元不明の死体として関わるくらい。主人公にまとわりつく若く人なつっこい青年は、同性愛者で時折暴力を振るう恋人しか繋がりがない。暴力を受けたとしても逃げ込む先はない。育児放棄された子供は盗みを繰り返して施設でも持てあまされている。社会のセーフティネットから外れてしまった人ばかりで、そういう人達を呼びよせてしまうようなところが俊介にはある、ということなのか。｢人はみんな孤独な方がいい、その方が自由だから｣｢他人の人生なんて背負えない｣と言う俊介のままだったらラストの展開は絶対なかった。

　頑なに孤独を貫く彼が変化することによって、潜んでいる人間の善性が賛美されるのかな…と思っていた。でも、大団円のハッピーエンドにはなっていなかった。そこまでやってしまうとあまりに理想的主義すぎたのだろう。俊介の決断はある種の人には金目当て、詐欺と受け取られ、特に弁解もしなければ社会はそのように受け取る。でも、わかってくれる人だけわかってくれればいい、というスタンスになっていた。

完全自己出資で制作を始めた小林克人、小林健二兄弟監督の初長編。



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