映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。2日続けてイギリス特集です。
こちらはミステリ作家の最新作になります。コーンウォールって行った事ありますか？
物語の舞台はそこです。

湖畔荘＜上＞
The Lake House
ケイト・モートン
東京創元社

　『忘れられた花園』も　『秘密』も、上下巻で刊行されるケイト・モートン作品は、これまでの所全て表紙に工夫が凝らされている。今回上巻は屋敷を外側から見た絵、下巻は内側から見た絵で、外と内の対比が『忘れられた花園』と似ている。

　湖畔荘の館に住む裕福な一家エダヴェイン家は絵に書いたような幸福な一家だった。たくさんの招待客で賑わう華やかなミッドサマー・イヴまでは。ラブラブのアンソニーとエリナ夫妻、デボラ、アリス、クレメンタインの三人姉妹、末っ子のセオドア、エリナの母であるコンスタンス。その日、末の息子セオが行方不明になり、祖父の知人ルウェリンが変死体で発見された。70年後のロンドンとコーンウォールにある湖畔荘の過去と現在を行き来しながら、休暇中のロンドン警視庁勤務の女刑事セイディ・スパロウと、セオの姉アリスを中心に、少しずつ絡まる謎が紐解かれていく。

　冒頭は事件の真実を知っている者の思わせぶりな独白で読者の興味を引いてから、運命の日。視点は後に高名なミステリー作家となるアリス。好奇心旺盛で秘密の恋もしている。そんな彼女にある人物が秘密の逢い引きの約束をする。年齢差から考えても艶っぽいものではなさそうだが、何せヒロインの名前がアリスと来ては、少しは勘ぐってもみたくなる。

　そして現在。刑事セイディは、湖畔荘を見つけて過去の事件が、子供絡みだったと知り、にわかに興味を惹かれる。自身が関わった事件も子供を置き去りにして母親が失踪した事件で、感情のままに突っ走った彼女は、行き過ぎ捜査で謹慎処分を食らったからだ。現在の人間が過去に関心を持ち、やがて1910年代、30年代、2000年代、それぞれの時代に散りばめられた無数のパズルが一つの絵に仕上がってゆく手法は、前の二作でも用いられ、お馴染みの場所コーンウォールと共に、すっかりケイト・モートンの味になった。



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