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August 15, 2018
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みなさん、こんばんは。お盆ですね。戦争にちなんだ小説を紹介します。

奥のほそ道
リチャード・フラナガン
The Narrow Road to the Deep North
白水社

読んでいるとタイトルに目を惹かれるが、作者名を見て「ああ、芭蕉の本とは違うんだ」という目をして去っていくパターンが多かった。確かに、ほそ道はほそ道でもとんだ場所に続くほそ道であった。その道の名は、別名死の鉄路という。

 捕虜収容所を舞台に、日本軍の捕虜となったイギリス軍兵士らと、彼らを強制的に動員しようとする日本人大佐との対立と交流を描いた映画『戦場でかける橋』はつとに有名だ。本書は映画のベースとなった泰緬鉄道建設をもとに書かれた。捕虜だった著者の父に仮託して書かれた主人公はタスマニア出身オーストラリア軍軍医のドリゴ。彼視点で物語が進めば物語は被害者寄りで進むはずだが、複数視点で書くことで日本軍への一方的な糾弾にはならない。

 ブッカー賞作品は話がおそろしく曲がりくねり、一つのテーマに絞り切れない傾向が強い。本作もその例に漏れない。対比表現、形容語句を重ねる特徴ある文章は本作特有かもしれない。

 今回着目したのは天皇という存在だ。戦争責任が一個人・一団体に帰されないのであれば一体誰に責任があるのか。敢えて責任を問われない存在が浮かぶ。

 異国のドリゴが見た天皇は
「日本人の不屈の精神、西洋が持ち合わせない精神、帝国が天皇陛下の御心と呼び、そう理解している精神。その精神をもって最後には勝利すると帝国は信じている。」

とあるように日本人の拠り所というスタンスを踏襲している。

 戦時中の日本軍兵士ナカムラは
「少佐殿は、進歩はほかの理由から生じると言っておられる。ドクター、あなたはそれを非自由と呼ぶ。われわれはそれを、精神、国家、天皇と呼ぶ。ドクター、あなたはそれを残酷な行為と呼ぶ。われわれはそれを運命と呼ぶ。われわれが勝っても負けても、それは未来なのだ。」

と語り、
戦後においても
「一言であらわされる詩、恐らくは最も偉大なる詩だと思っていた。宇宙を包含し、あらゆる道義とあらゆる苦難を超越する詩。そしてあらゆる偉大なる芸術同様、それは善悪を超えていた。だがどうしたものか―彼は考えないようにはしていたが―この詩は、恐怖、怪物、死体になった。そして哀れみを封じ、実を言えば愉快にも思う残酷さと戯れるという尽きせぬ能力を自分自身のなかに発見したことを、彼は自覚していた。 人間の命など一つとしてこの普遍的な善には値しないから」

と、天皇を至高の存在に据えている。

 だが、同じ日本軍でも韓国籍では批判的な見方が混ざる。戦犯として処刑される韓国人兵士チェ・サンミンは、日本人なら到底しないタブーを考える。
「自分たちと自分たちのあらゆる行為が天皇の意向をそのままに表したものなら、なぜ天皇はいまも自由の身なのか。なぜアメリカ人は天皇を支持し、天皇の道具に過ぎなかった自分たちを縛り首にするのか。」


 天皇に戦争責任があったのか―すなわちどこまで関与していたのか―という問題は、恐らくこの先日本では深く追求されることはない。外国の目を通してしか、我々は天皇を視る事ができない。今さら歴史をほじくり返して戦争責任を追及するつもりはないが、先に戦争に果たした役割を総括しないままでは、国民一人一人が歴史を判断することもできないのではないか。「戦争はいけない」というなら「その戦争はなぜ起こったか」を併せて知るべきだ。


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最終更新日  August 15, 2018 12:24:41 AM
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