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November 18, 2018
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みなさん、こんばんは。
昨日まで紹介していたBBCドラマ『ホロウ・クラウン』で国王を演じていたジェレミー・アイアンズが出演したドラマ『ブライズヘッドふたたび』の原作本を二回にわけて紹介します。


回想のブライズヘッド〈上〉
Brideshead Revisited
イーヴリン・ウォー
小野寺健【訳】
岩波文庫

やや長い序章は、第二次大戦の最中から始まる。国内を移駐するばかりの連隊は、だれきっていた。中隊長のチャールズは、下からは不満たらたら、上からは叱咤激励される、いわゆる管理職ポジションに疲れていた。その彼の耳がしゃんとしたのは、ある場所を聞いた時だ。庶民出身の部下フーパ―に「あんなのはあんただって見たことがない」と言われたライダーは「わたしは前にここに来たことがあった。ここのことは何でも知っていた。I had been there before; I knew all about it.」と答える。

 ここからライダーが「前に来たことがある」邸に「家族が住んでい」たセバスチャンの回想に入っていく。怠惰な軍隊、終わりの見えない戦争などマイナスの雰囲気がぱぁっと晴れて、明るい青春時代-過去-に遡っていくイメージだ。皮肉屋のウォーには珍しく、本作には、このシーンをはじめとして美しく儚い描写が多い。この「美しさ」と「儚さ」を併せ持つ登場人物が、セバスチアンだ。

 「魅惑的な美しさと自由奔放とも見える奇行とで飛びぬけて目立つ存在」だったセバスチャンとは、酔ったセバスチアンがチャールズの部屋に吐くといった、おおよそ美しくない出会いから始まる。ただし、その後セバスチアンは、チャールズの部屋に沢山の花を贈るという王子様みたいなフォローをするかと思えば、大学生にもなってアロイシアスという熊のぬいぐるみを抱えている、今でいうところの不思議ちゃんだ。

 現在三十九歳、中年にさしかかろうとするライダーが懐かしむのは、青春時代の一角を彩った風変りな友人セバスチアン、そして彼らが最も生きやすい空気を作ってくれた青春の倦怠(The langour of Youth)、そして彼と共に生きた時代だ。第一次大戦後、市民階級が台頭し、貴族達が財産を切り売りしなければならなくなるのは、英国ドラマ『ダウントン・アビー』でも描かれた。今までなら何不自由なく親の財産を食いつぶして生きてきた貴族たちが、自分の力で財産を築く逞しき市民階級に次第に追いやられてゆく。チャールズが回想する過去の時代においてもその兆しは既に見えているが、セバスチアンは既に当時の貴族社会からも落ちこぼれている。実家を指して「あそこにぼくの家族が住んでる」とは言っても、「あれがぼくの家」とは言わなかったセバスチアンはどこにも居場所が見つけられない事を十分自覚しており、酒に溺れていく。上巻はチャールズが学校をやめると父親に宣言し、セバスチアンがとうとう退学になってしまう所までを描く。学園という一種のアルカディアを出て、下巻では大人の世界に踏み出した二人が、さあ、どうなるか。


『中古』回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)​​KSC






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最終更新日  November 18, 2018 12:00:24 AM
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