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みなさん、こんばんは。ホラー小説のイメージが強いフランケンシュタインの作者がうら若き女性だったことを知っていますか？

映画メアリーの総てを見ました。

メアリーの総て
MARY SHELLEY

出演
エル・ファニング　トム・スターリッジ　ダグラス・ブース

　19世紀のイギリス。小説家になりたいメアリーは、異端の天才と称される詩人のパーシー・シェリーと出会う。彼らは互いの才能に惹(ひ)かれ駆け落ちするが、メアリーに数々の悲劇が訪れる。ある日彼女は、滞在していた詩人バイロン卿の別荘で、怪奇談を披露し合おうと持ち掛けられる。

　　1816年、スイスに雨が降り続いた夏。詩人バイロン卿が借りていたレマン湖のほとりの別荘で、退屈しのぎに客人たちが怪談を書いてそれぞれ見せ合う約束をした「ディオダディ荘の怪談談義」は文学史に刻まれる出来事になる。この時に生まれたのが「吸血鬼」「フランケンシュタイン」。後者を書いた18歳のメアリー・シェリー、バイロンの愛人であり、彼の子を妊娠していたメアリー・シェリーの異母姉妹クレア・クレモント、バイロン28歳、パーシー24歳。

　冒頭は、真っ暗な中に羽ペンを走らせるがりがりという音が響く。今ではもう作家とペンは結び付かないからこの手法は昔の作家にしか使えない。そして息づかい。メアリー本人が登場するより、彼女の本質＝書くことが、まず視聴者に示される。

　映画先行の視聴者がほとんどで、それゆえ「フランケンシュタイン」はホラーもの、恐ろしい怪物が人間を襲うが最終的には退治されてしまう英雄ものという認識が強いだろう。

　しかし原作を読んでみると、怪物＝悪、フランケンシュタイン(怪物の名前ではないのですよ)博士＝善と単純に割り切れない。自分の意思でなく造られたところまでは人間と同じだが、その後は遺棄され、内面を何ら理解されることなく、外見だけで排除一辺倒に傾くうちに、創造主への怒りを募らせていく過程が丁寧に描かれているからだ。もちろん作家が全て体験したことを元に作品を描く必要はないが、この描写を10代で描けてしまうメアリーの洞察力はやはり怪物と言える。自滅しないために、メアリーは執筆という道を見つけることができたとも言える。

実際、映画ではメアリーが長女のように描かれているが、本当はもう一人姉がいて、メアリーは両親の結婚によって嫡出子となったが、彼女はそうでなかった。自殺した彼女の死因は現在に至るまで不明のままだ。見ようによれば彼女は「フランケンシュタイン」に書かれている所の、とばっちりを受けて怪物に殺されてしまう人間の側にいたのかもしれない。

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