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January 16, 2019
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みなさんこんばんは。稀勢の里、厳しいですね。表情も頑なな感じがします。

さて、今日は江戸時代の女性達が中心の短編集を紹介します。

花冷え
北原亞以子
講談社

「恋は盲目」と、ひとはいう。
周りの口出しも常識も理性も放り出し、「好きならば、大丈夫、やっていける。」と唱えてずんずん道を歩んでゆく。その先にある落とし穴や行き止まりは、見えるはずだが、見ていない。

 恋している時は、そんなもの。そのまま、何事もなくうまくいくことも、稀にある。
でも大概は、何かにつまずく。
一度つまずけば、困難な問題がない振りをして通る事はできない。

その時人は、どうするか。
乗り越えるか、戻るか、脇道を行くか。
人生で恋をすると、そんな選択の連続だ。
「花冷え」のおたえも二年前、ある岐路に立っていた。但し、彼女はその意識が、幾分弥吉より希薄だった。

 天保十二年、水野忠邦の出した贅沢禁止令で、派手な衣類が禁じられた。
着物の型付け職人として、自分に誇りを持っていた弥吉は、
「職人から仕事を取り上げる、ご法度の方がわるいんだ。」と反発し、
「御法度の反物を作るのか」と怒るおたえの兄と、弥吉を弁護する叔父が喧嘩になってしまう。
おたえは喧嘩をやめさせようと
弥吉に「型付けはしないと言って」
と頼むが、その時弥吉は
「俺あ、型付けの職人だぜ」
と言って、おたえを見る。
俺がどう思っているか。おたえさん、あんたには、わかって欲しい。わかるだろ? 俺が好きなら。
存外に、その意味をこめて。
けれど彼女は、この弥吉の言葉に、はっきりと意志表示しないまま、兄にひきずられてその場を去る。二年後呼び出されたおたえは、弥吉との再会に胸をときめかせる。

 箪笥から二つの引き出しを交互に引っ張るかのように、筆者は再会する二人の「現在」と「過去」をかわりばんこに登場させる。この描き方によって、何気なく書かれてあった仕種を、実は相手がどう思っていたか、なぜ片方の歯切れが悪かったのかが、後からわかってくる。読者はその都度頭の中で最初から物語を振り返る。すると今までの話に別の色が加わって、物語も、それぞれの心も、また別の顔を見せる。そしてまた、読者はおたえと同じ速度で、いや、もしかしたら、彼女よりも先に知ってしまう。二人の道が、今どういう状態なのか。この先どうなってゆくのか。

 本書の女達は、様々な場で選択をする。選択眼が曇り、必ずしも幸せな結果とならない時もある。自棄になりたい時もある。けれど、例え人に強制されたり、何か言われたからにせよ、結局は自分の恋や人生に対して、自分が下した決断だ。だから一旦選べば、そうやすやすと逃げはしない。岐路に戻ってやり直すとしても、もう同じ間違いはしない。つまずいた事を糧にして、今度こそ「ああ良かった」って思える選択をしてみせる。

 悩んで、転んで、つまずいて。回り道もしたけれど、そのおかげで、身につけたものもある。えいやと思い切る潔さと、困難を耐え抜く強さ、そして人を思い遣る心。幾多の試練を経て、心も体もちょっぴり強くなった女達は、きっと今日もどこかの道を、ずんずんと歩いてる。
表題作他6篇収録。


【中古】花冷え (講談社文庫) 亞以子, 北原​​BOOK-G







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最終更新日  January 16, 2019 12:00:38 AM
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