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みなさん、こんばんは。厚生労働省の再調査も全然第三者性が保たれていませんね。
首相は辞めさせるタイミングを見計らっているだけだと報じられていますが、
失業手当を少なく貰っていた人にはたまらないニュースです。

今日から二日間続けて時代小説を紹介しますね。

冬のつばめ―新選組外伝・京都町奉行所同心日記
澤田ふじ子
中央公論新社

　京というのはほとほと難儀なところだ。
平安時代には妖怪、魑魅魍魎に気に入られ、
室町時代には戦で荒れ果て、
戦国時代には上洛の最終目的地にされてしまい、諸国大名が
全国から京を目指してやって来る。
ようやっと江戸時代になり、穏やかになったかと思えば幕末がやって来る。


　幕末の京都といえば、新選組。勤王攘夷、佐幕派が入り乱れ、数々の事件が起こった場所である。そんな所に文久元年(1861年)、京都東町奉行所同心として赴任して来た大仏伝七郎は、京の事など何もわからないというおのぼりさん。「おいおい、彼で大丈夫か？」と思いきや、彼には頼れる知己がいた。京都に先にやってきていた新選組の面々だ。伝七郎は近藤勇、沖田総司らと試衛館で汗を流した仲なのだ。だから、事件が起こると彼等に話を聞きに行く。こりゃあいい。
お見事、その設定。

　しかし待った。やはり時代は幕末だ。新選組がどうなるか、遥か未来の我々は知っている。
荒れ寺の住職の失踪や表具師の焼死事件など、新選組に無関係の事件のうちは、まだいい。
だんだん新選組との関係が深くなって来る事件に移ってゆくうち、伝七郎と新選組の関係も、変わらざるをえなくなっていく。分岐点は池田屋異聞ともいえる「池田屋の虫」あたりか。

「季節そむいた 冬のつばめよ」と歌われる冬のつばめのように、新選組もまた、時代に背いた存在になり、吹雪に劣らぬ厳しい風に吹き晒される。人斬り集団として怖れられ、やがて時の権力者達にいいように使いまわされていく彼等を、こんな温かな思いで見つめてきた人達が、本当にいたと思えれば、少しは心安らぐ。読後に心にじんわり沁みてくる短編集。

「冬のつばめ」「夜寒の寺」「池田屋の虫」「高瀬船」「人斬り」「あいらぶゆう」「七条月夜」「御用盗」収録。

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『中古』冬のつばめ—新選組外伝・京都町奉行所同心日記 (中公文庫)​​KSC​