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January 31, 2019
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みなさん、こんばんは。働き方改革でモーレツ社員のイメージから舵を切った日本。でも、厚労省のように仕事がいいかげんでは困りますね。

こちらの小説に登場するのは江戸時代の5時まで男です。でもちゃんと理由があるんですよ。

たそがれ清兵衛
藤沢周平
新潮文庫


「24時間戦えますか」というキャッチコピーがかつて流行した。失業者が多く残業の多い昨今、あまり笑えないコピーである。さて、現在の武士(もののふ)達はといえば、城をオフィスビル、刀をパソコンに置き換えて、24時間とはいかないが、やはり長時間働いている。そして仕事が終わればだんだんと、心の鎧を解いてゆき、家に着いた時にはすっかり緊張を緩める。もちろん戦闘服も脱ぎ捨てる。

ところが江戸時代、家に戻っても働き続けた24時間男がいた。井口清兵衛がその人だ。彼は下城の太鼓が鳴るが早いか、同僚達ともつき合わず、家にまっすぐ帰る。ついた綽名が「たそがれ清兵衛」。しかし彼は、家でのんびりしたいから早く帰るのではない。夫の助けがないと一人で厠にも行けない病身の妻がおり、飯の支度から掃除、洗濯をするのだ。原作で彼を「たそがれ清兵衛」たらしめているこの設定が、映画では幼い子供の世話がいる家族構成に置きかえられ、それによって命令を受ける経緯も違えてある。原作では、午後六時からの上意討ちを最初命じられた時、「受けてしまうと、その時間厠に行きたい妻を待たせてしまう」と、清兵衛は断る。こんな武士が今までいたろうか。私事で殿の心を煩わすなど恥と考え、「ははっ、ありがたき幸せ」と平伏して受けるのが今までの武士なのに。仕事を辞めて介護を選ぶ人達がようやっと受け入れられたのは、最近になってからだ。江戸時代ならばどんな目で見られた事か。それでも清兵衛は運がいい。命じる側が、妻をもっといい医者に見せると請け合い、女房の世話をしてから七時に出向く事を了承してくれたのだから。

藩よりも家庭を優先させた清兵衛を「馬鹿な奴」「武士の風上にもおけぬ奴」と見る向きもあるだろう。でも、藩は一体どこまで清兵衛の面倒を見るつもりだったか。成功すればもちろん清兵衛の望みは叶ったろうが、もし失敗したら、藩側は、全ての責任を清兵衛にかぶせて頬かむりしたのではなかろうか。それに対して彼が成功しようと失敗しようと、家は変わらずそこにあり、無条件の愛と信頼を向けてくれる。時には邪見に扱う事もあっても、おいしい料理を供してくれる。
うらなり、だんまり、ごますり、ど忘れ、かが泣き。短編集に登場する、いずれ劣らぬ奇癖を持つ剣士達は、一刃を振るいここ一番の活躍を見せる。しかし彼等達が最後に戻る場所は、仕える殿の御前ではなく、剣を鍛える道場でもなく、愛する家族と安らぎのある、唯一無二の家なのだ。


たそがれ清兵衛改版 (新潮文庫) [ 藤沢周平 ]​​楽天ブックス







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最終更新日  January 31, 2019 12:00:36 AM
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