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February 20, 2019
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みなさん、こんばんは。何かを集める人はいるけれど、
度が過ぎるくらいの収集癖の人っていますよね。
さて、本編に登場する人物は何を集めていたかと言いますと…。

ウッツ男爵: ある蒐集家の物語
UTZ
ブルース・チャトウィン

 カレル橋を作ったカレル4世は変な王である。モルタルの中に卵白を入れて橋を作ろうとしたが、何のために卵を必要とするか説明せず収集命令を出したため、ゆで卵ばかり送ってきた村があった。

 ルドルフ2世も変な王である。麒麟、カバ、象、雌ライオンを飼っており、ライオンの死にショックを受けて自分も死んでしまったそうだ。

  チェコの首都プラハに「現代のルドルフ」と呼ばれるウッツがいた。ルドルフに擬せられるくらいだから、彼もどこか変なのだ。

 副題は彼のことであり、本書はマイセン磁器に耽溺する彼の一代記だ。但し、時系列通りになっていない。冒頭は彼の葬式であり、途中に彼の生い立ちや、語り手である「私」がウッツ氏と知り合う過程、「私」が知らないウッツの消息が挿入される。構成自体が迷路のようだ。それでもややこしく感じないのは訳者の使う言葉がとても柔らかく、とっつきやすいからだ。

 チェコという国の歴史を考えれば、ウッツの言葉や行動には、もっと恨みつらみが表に出てきてもいい。第一次大戦後やっと独立を果たしたと思ったらナチスドイツに狙われ、ナチスドイツからやっと解放されたと思ったらソ連の二重支配が始まる。ヨーロッパのど真ん中にあるため、列強から絶えず狙われてきたチェコの民が磨いたのはユーモアだ。矛先が向かうのは権力者たち。

 例えばウッツと私と友人オルリークがレストランに入った時、鱒が沢山泳いでいるのに、みんなあの“肥った人”が予約済みだから料理には出せないと言われる。さあそこで怒り心頭に達した誰かが怒鳴り込みにいくのかと思いきや、話はメニューの綴りが間違っていてとんでもないものになっていた話、オルリークが夢中になっているあるものの話へと次々繋がってゆき、彼等への怒りはどこへやら。

 次々と政権が変わるチェコで、マイセン磁器のために次々と立ち位置を変えるウッツもまた、切羽詰まった悲愴な姿というよりは、軽妙なステップを踏む熟練の踊り手のようだ。悲惨な環境を救った縁で彼と共にいるマルタとウッツの関係も、長い長いラブストーリーというよりは、サイドストーリーとして出てきたゴーレムと人間の関係を思わせる。マニア垂涎の的だったマイセン磁器の行方も、様々な証言が集められるものの、結局結論は出ないままに終わる。用が失せれば、おのずから消えていくという謎めいた一文があるため、まるでウッツと共に消え失せてしまったかのようだ。

 強国ロシアの隣でじっと時期を待ち、したたかに、しなやかに、ブロード革命を成し遂げたチェコの国民性の一端を見た気がした。



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最終更新日  February 20, 2019 12:00:31 AM
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