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March 7, 2019
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みなさん、こんばんは。カルロス・ゴーン氏とうとう保釈されましたね。
さて、今日はジェーン・オースティン作品紹介の最後です。

ノーサンガー・アベイ
Northernger Abbey
ジェーン・オースティン
キネマ旬報社

 ジェーン・オースティン作品のヒロインといえば、ちょっと癖はあるものの善良さを持ったヒロインが、財産がないがために馬鹿にされ、しかし金持ちの男性に見初められてハッピーエンドを迎えると決まっている。それなのに、本作の主人公キャサリンは、最初から作者本人にディスられている。

「キャサリン・モーランドを子供時代に見かけたことのある人なら、誰も彼女がヒロインになるために生まれた人だなどとは思わなかっただろう。」
「キャサリンはかなり大きくなるまで、特別器量が悪かった。彼女は痩せてみっともない姿をしており、皮膚は黄色くて血色が悪く、髪は黒く真っすぐで、目鼻立ちはごつごつしていた。容姿についてはこんなところである―それに心のほうも同様に物語のヒロインには不向きだった。」

 何と!ヒロインにさせてもらえないのだ。ならばそんな人、主人公に選ばなきゃいいじゃん!
「だが、若いお嬢さんがヒロインになるときには、たとえ、まわりで四十もの家族が意地悪をしたところで、それを止めることはできない。必ず何かが起こって、彼女の行く手にはヒーローが現れるに違いない。また事実そうなるものである。」

 なんだ、やっぱりヒロインになるらしい。やれやれ。
さて、ヒロインになったところでやっと出会いが訪れる。裕福な地主アレン夫妻に誘われて、今でも人気の温泉保養地バースにやってきたキャサリンは、新興ブルジョアのソープ一家のジョンとイザベラ兄妹、彼等から病的に嫌われるティルニー家のヘンリーとエレノア兄妹と出会う。キャサリンは皮肉な物言いをするヘンリーが気になる。しかし、イザベラの兄ジョンから熱烈アプローチを受け、過ぎた思い込みが無意識に確信と化しているイザベラから、二人は婚約したものだと誤解され祝福を受ける。一方、イザベラはキャサリンの兄ジェイムズとあっという間に婚約。さあ、ここで第一部が終わる。が、これでハッピーエンドになるはずがない(酷い)。

 後半はグロースターシャーの裕福な地主の家ノーサンガー・アベイに、キャサリンが招待される。なぜかというと、アベイを所有していたのはヘンリー達の父ティルニー将軍だったからだ。怪奇小説ファンのキャサリンは、お化けの森を怖がるアン・シャーリーの如く古いアベイであれこれと想像を巡らせるが、もう一人想像をあれこれと巡らせていた大人によって、酷い目に遭わされてしまう。ヒーロー、ヒロインが毅然とした態度を取らないうちに何となく大団円に向かうので、他作品に比べるとあまり人気はない。


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最終更新日  March 7, 2019 12:00:39 AM
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