映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。ノートルダム寺院が焼けてびっくりですね。
さて、今日は大河ドラマでも扱われているオリンピックがテーマの映画を紹介します。

栄光のランナー／1936ベルリン
RACE

監督
スティーヴン・ホプキンス

出演
ステファン・ジェームズ　ジェイソン・サダイキス　シャニース・バントン
ジェレミー・アイアンズ 　ウィリアム・ハート

中学時代から陸上選手として抜きん出ていたジェシー・オーエンスは、オハイオ州立大学に入学する。そこでコーチのスナイダーと出会ったジェシーは、人種差別に耐えつつ、トレーニングに励んでいた。恋人ルースの支えもあり、見事オリンピックの代表選手に選ばれる。

娘までいる恋人がいながら、結婚前にある女性との親密な関係が噂になるなど、この映画ではジェシーを聖人君子には描いていない。レニ・リーフェンシュタールも登場するが、こちらも従来のヒトラーべったりで御用映画監督のイメージとは異なる。宣伝相ゲッベルスは従来のイメージ通りで嫌な奴。
「総統に気に入られたらしいな　だが忘れるな　これは私の大会だ」
「私の映画よ　映画がないとすぐ忘れられるわ」
レニはゲッベルスと対等に渡り合い
彼に阻止されたジェシーの跳躍を記録に残したいと直談判にやって来る。
「歴史を変えたわ　私はその姿を記録に残して伝えたいの　偉業を忘れないように」アスリートとしてのジェシーを正当に評価する事ができる人物として描かれている。

出会って以来ずっとジェシーを支え続けたコーチ、ラリー・スナイダーとの関係も、この映画を支えるテーマだ。「記録などクソだ　意味があるのはメダルだけ　記録なんて一瞬で奪われる　だが金メダルを獲ればそれは一生君のものだ」不運にしてオリンピックに出られなかった彼は愛弟子に全ての夢を託し、チームのコーチに選ばれなくてもジェシーを心配して自腹で渡航する。彼の靴を買うために、言葉も通じないベルリンの街を奔走するエピソードは胸熱。ちなみにスナイダーがオーウェンズのために買った靴の靴屋の名前はアディ・ダスラー( Adi Dassler) つまり後のAdidas。

冒頭、オハイオ州立大学から帰る時に、ジェシー達がバスに乗るシーンがある。バスの座席は有色人種とそうでないのとに分かれている。ジェシーがオリンピックで前人未到の四冠を達成しても、黒人差別は変わらない。国民の英雄でも、肌の色で拒否される。祝宴が開かれるホテルで、主賓である彼と妻が裏口から入るよう言われるのがこの映画のラストシーンだ。優勝して皆から祝福されるシーンではなく、このシーンを選んだ所に監督のメッセージが感じられる。ヒトラーの偏見を結果で跳ね返したジェシーだが、最も手ごわい敵は、祖国アメリカだった。そして未だに、差別は残っている。

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