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September 8, 2019
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カテゴリ:日本ドラマ
みなさん、こんばんは。
好評だった『ポルノグラファー』の続編ポルノグラファー〜インディゴの気分を見ていました。最初はFOD配信なので見られないと思っていたのですがひっそりと深夜放送してたのですね。

『ポルノグラファー』 『インディゴの気分』 とも二人の物語と見せかけて実は三人の物語。途中から乱入する三人目が二人のうちいずれかと知り合いで 『ポルノグラファー 』は無意識に 『インディゴの気分 』は意図的に二人の関係に波風を立てる。3という不安定要素が登場人物の心を動かし物語をドラマティックにしている。BGMも3拍子のワルツ。
ニ拍だと早い。かといって四拍だと三つ目でもたれてしまう。三拍がちょうどよい。
一拍目、二拍目でMajor=長調でも三拍目でMinorまたはその逆をやると曲調ががらりと変わる。物語の人間模様がくるり、くるりと変わるように。

最後に春彦とのシーンが登場したので「木島先生幸せになってよかったね」「城戸は振られた」という見方が多かったがもう少し違う見方をしてみる。
人生のパートナーとして木島を看取るのは春彦であっても
作家鬼島蓮二郎の最期を看取るのは、退職していない限り城戸になる。
ならばこの二人が完全に切れることはない。

大きな出版社の場合、編集は様々な作家を担当しながらステップアップして
最後に大家を担当してそのまま退職…という道もあるが、桃水社はそこまでの
規模ではなさそうだから、役職がついたとしても鬼島蓮二郎は城戸が担当になる。

作家としての終わりと、人生の終わりが一緒に来てくれれば申し分ないが
老衰もあるので大抵は前者が先に来る。物書きである以上、能力にせよ体力にせよ、必ず書けなくなる時は来る。引導を渡されるかーまあ、はっきりと宣言されなくても仕事の依頼が減る、あるいは限界に自分で気づくか。
それまでずっと作家=自分なのだから、“その瞬間”はとてつもなく辛い。自分の一部が
じわじわと死んでゆくような感覚。その時の鬼島蓮二郎=木島理生の側には城戸がいる。
作家誕生の瞬間と、終焉の瞬間に立ち会う男。……………萌え?

で、本編。

ポルノグラファー〜インディゴの気分

原作
丸木戸ユキ

監督&脚本
三木康一郎

出演
竹財輝之助 猪塚健太 吉田宗洋 大石吾朗 

エンディングテーマ
鬼束ちひろ
「End of the world」

【第一話 運命は青藍のように】
都心のバーで二人の男が呑んでいる。官能小説家の木島と、その担当編集者の城戸だ。「なんとも説明しづらい関係」を漂わせる2人。いったい2人はどんな関係なのか…。数年前、既にポルノ小説の編集者であった城戸は、恩師の葬儀で大学の同級生だった純文学作家の木島と再会した。2年間同じゼミであったにもかかわらず城戸の事を全く覚えていなかった木島は、城戸や友人の通夜振る舞いへの誘いを断り、足早に1人式場を後にする。通夜振る舞いに参加した城戸は、式場を出て社用車で都心へ向かうその途中、道を歩く木島に遭遇する。帰りの電車賃が無く、歩いて帰宅するつもりだと言う木島を車に乗せ、城戸の車は都心へ向かって行く。同棲していた彼女に追い出され、会社に寝泊まりしていると言う城戸を、送ってくれた御礼にと今度は木島が自宅へ招く。「有り難い」と木島の自宅に泊まらせてもらう事にした城戸は、そこで未納の振込票や督促状の束を目にする。出版社の担当と喧嘩別れしたという木島は、今まったく仕事をしていないという。創作にも行き詰まり困窮している様子の木島に、城戸は自分が担当している官能小説のレーベルでの執筆を提案するが木島は「ポルノは文学ではなく道具だ」と吐き捨てる。それでも「木島のファンだ」「書き続けて欲しい」と訴える城戸に木島の心は動き始める。

 第一話冒頭と最終話だけ現在視点。ふと昔の記憶が蘇り、キスしようとする寸前で理生が目覚め、「ごめん」という場面は最終話でも繰り返される。

「僕は文学しか書くつもりはない くだらない消費物を書くくらいだったら作家なんかやめたいほうがましだ」
自分が書きたくてたまらない文学を書く力があり、それが十分に世の中に知れていないのに困窮してもプライドを手放さない理生。それどころか、他でもない理生の才能に打ちのめされた城戸が、生活の糧かつ落としどころに決めたポルノ文学を、くだらない消費物と吐き捨てる理生。彼の世間知らずの言葉が城戸の黒い心に火をつける。
「俺はぐちゃぐちゃにしてやりたくなった」

そして言い方を変える。
「センセイ(ここは絶対カタカナ)」
「木島くん」「木島」でなく。

嘘は―嘘だから―言葉がすらすらと出て来る。「書き続けて欲しいんだよ もったいないよ」は半ば本気が混じっていたかもしれないけど「木島くんなら大丈夫」は嘘。大事な時に本当の事が口に出せない城戸のジレンマは、ここから始まる。

「給湯器を買ってやる」これまで「してもらう」側にいた城戸が「してやる」側に回る転換点でもある。

理生の“ポルノなんて発言”を聞いてからの城戸の表情が、震える握りこぶし、噛みしめる歯、そこからの閉じる口を経て笑顔という流れの原作。さてドラマ版は、握りこぶしなし。ご丁寧に理生が酒臭い息を城戸にふきかける。二度目をつむり、目を開けた時には口は笑っているが目は笑っていない。

【第二話忘却の時を求めて】
城戸の誘いを受け、官能小説の執筆を始めた木島だが、その出来は濡れ場の描写が5行で終わる始末。執筆の参考にと城戸が渡した官能小説の束から、「初めて官能小説の面白さに触れた気がした」と木島が手に取ったのは大御所・蒲生田郁夫の小説だった。数日後、城戸は上司から、その蒲生田郁夫の担当を命じられる。ガン療養中で次作が自分の遺作になると明言している蒲生田から原稿を取ってくれば、今よりも条件の良い同族出版社への転職もあると仄めかされた城戸は、蒲生田に自社を選んでもらう材料として「キジマリオを弟子にとりませんか?」と提案する。勝手に弟子入りを決めてきた城戸に木島は怒りをぶつけるが、どうしても獲りたい仕事だからと懇願され、城戸と共に蒲生田邸を訪れることに。「キジマリオ」を女性だと思い込んでいた蒲生田は、訪れた木島を見て「俺を騙しやがったな」と激昂し、二人を追い返そうとするが、木島はそんな蒲生田にも動じることなく「なんでもやらせていただきますので」と頭を下げる。そんな木島に、蒲生田が遺作の原稿を渡す条件として提案したのは“悪趣味”で“鬼畜”なある行為だった。

友人同士としての二人が拝める最後の回。自分を認めなかった父親の葬儀に出られなかったことを城戸に話す理生。第一話ではあんなに自信たっぷりだったのに、今回はなんとも頼りない。酒の力を借りなければ、それすら城戸に話せなかったかもしれない。

酔っ払った理生にしじみの味噌汁を作ってやる城戸。ここまでだったら、もしかしたら生活能力&社会適応力ゼロの男とお節介焼きの友人の、ほのぼの同居物語で終わったかもしれない。しかし蒲生田が現れたことで二人の関係が変わる。温かいご飯を載せる食卓ではなく、理生の華奢な体を載せる生々しい愛欲の床に変わるように。

【第三話 理性の限界を超えた目覚め】
あまりの提案に悪趣味だと狼狽する城戸だったが、木島は「やるよ」と答え、城戸のベルトを外し、ズボンのチャックを下げた。「絶対に取りたい仕事なんだろう、何てことないだろこれくらい」そう言うと、木島は城戸のそれを口に含み、舌を這わせはじめる。かつて憧れた男が跪き、淫らにその屹立を咥える光景は城戸の嗜虐心をひどく煽った。果てた城戸と息を切らす木島を見て笑う蒲生田。そして木島に、「明日から、うちへこい」と告げる。蒲生田の家を出た2人はタクシーに乗り、木島の家へ向かった。その車内で「どうだった?」と木島に問いかけられた城戸は木島を抱き寄せ、家に着いた二人はそのまま身体を重ねる。翌朝、城戸が目を覚ますと木島の姿はなく、「先生のところへ行きます」と書かれた置き手紙だけが残されていた。それからしばらく木島は蒲生田の家で与えられた居室で過ごし、家には戻らなかった。一方、城戸は蒲生田の遺作と木島の官能小説デビュー作の2つの原稿を得たことを評価され、社長から同族出版社への転職話を進めるか問われ、「ぜひお願いします」と答える。その頃、木島は城戸の事を想い、蒲生田の玩具を手に取っていた。

第三話と第六話は日本家屋がいい仕事をしている回。蒲生田の無理欲求に応える理生と城戸は部屋の障子のガラス越しに映され、肝心な所はその下の部分に隠されて見えない。次第におさえられなくなっていく城戸の表情によって、切羽詰まっていく状況が伝わる。生々しいのを嫌う監督らしいカット。

原作では城戸の“あれ”は理生の顔にかかり、かかったままの顔を蒲生田が触り「明日からうちへ来い」と言う。匂いだってするだろうに全然意に介さずに。何事にも動じない蒲生田と後半の病室での姿との対比。

さっきの一幕を「変態老人のパワハラ」という冗談でおさめようとする城戸に「どうだった?さっきの」と上目遣いで聴いて最後に残った理性を吹っ飛ばす理生。記憶があいまいな城戸はともかくとして、リムジンでもあるまいし、スモークガラスもないタクシー運転手は、突如ヤリカーにされ濃厚な一幕が繰り広げられているのに、よく目的地にまで辿り着いたものだ。あっぱれ。
(原作では舌打ちされる)

自分が仰ぎ見る存在だった理生が、跪いて泣き、啼き、自らの行為に敏感に反応する。その姿に嗜虐性と征服欲をかきたてられる城戸。彼は片手で理生を支え、もう一方の手は理生の体を絶えずまさぐる。一つは、放っておけばどこにでも&誰にでも行ってしまいそうな彼を、もう一つは儚い魔性のイキモノの底を探り当てようとするように。

城戸によって体を“拓かれ“美しく妖艶に変わろうとしている理生と“拓いた”張本人の城戸が結婚・転職に舵を切り、理生に続く道を“閉ざして“ゆく場面の交錯が効果的。

【第四話愛するということ】
原稿を書き終えたとの連絡を受け、蒲生田邸を訪れた城戸。居間には豪華な料理が並び、祝宴の準備が整っていたが、“書き終えた”のは蒲生田の原稿ではなく木島の原稿と知り肩を落とす。しかし蒲生田はポルノ処女作を書き終えた祝いだと上機嫌で、木島が来てくれて助かっている、と城戸に告げる。祝宴が続くなか、蒲生田は倒れてしまい、木島に支えられて寝室へと向かう。その様子を訝しげに見つめる城戸。少しして蒲生田の寝室から木島が出てくると、城戸は小部屋に木島を引きずり込み熱いキスを交わす。城戸は、木島が蒲生田とも関係があるのではと疑うが、木島は否定し、それよりも城戸の事を考えて「あそこをいじってた」と告げる。木島の告白に興奮が抑えられなくなった城戸は、そのまま木島を押し倒し、服を脱がせていく。絡み合う二人。だが、城戸はその時、少し前にヨリを戻した彼女の事を考えていた。2人が身体を重ねていると、家政婦の佐藤が木島を呼ぶ声が聞こえてくる。木島が慌てて服を着て、佐藤と共に蒲生田の部屋に駆け付けると、蒲生田は布団の上で血を吐いて倒れていた。蒲生田はそのまま即入院となり、木島は毎日献身的に病院へ通った。そんな木島に「ここまで付き合うことはない」と蒲生田は告げるが、木島は「これは僕のため」「先生に教わりたいことがまだたくさんある」と答える。そんな木島に蒲生田は何度も何度も頭を下げた。そんななか、ポルノ処女作の刊行が決まり、木島は城戸のオフィスを訪れる。出版社の社長も同席する打ち合わせの場で、城戸が転職するために木島の担当を外れる事、そしてそれが彼女と結婚するためであることを、木島は初めて聞かされる。

理生の新作完成を、孫OR息子がテストで百点取ったばりのはしゃぎようで祝う蒲生田。「そりゃすげーじゃねーか、“なあ”?」と祝うオニイチャンになれない城戸。城戸の鋭い視線に射すくめられて家もカタカタ。言葉と表情、二つの全く違うドラマが同時進行。ただし、後の“一発”発言のようにこの頃から二人の気持ちに気づいてたとしたら、一番の狸は蒲生田。

仲睦まじい蒲生田と理生に嫉妬した城戸が理生を部屋に連れ込んで濃厚キスを繰り返す。そして一度唇を離した後に、くっと口角を上げて笑う城戸がとんでもなくエロくて悪い顔。「あの気難しい爺さんを良く手なづけたようだな」と言葉攻めが始まるが既に夢うつつで「は?」ととんでもなく甘い声しか出てこない理生の色っぽさ。

背中から器用にシャツのボタンをはずしていく様子が『ポルノグラファー』3話で春彦が想像する二人の濡れ場シーンと完全合致。「インディゴの夜を読み込んできた」吉田さんの役を生きてる感じがいい。春彦妄想よりさらに言葉攻めテクニックが進化。

「バカ言え 僕は純粋に先生を尊敬して」でせっかく止まった城戸の手を促すかのように「でも」この後理生の魔性にスイッチが入る。背中越しなので理生の表情は城戸には見えない。「君の事考えてあそこいじってた」「まじかよ」「ねえ もうだいぶ広がったよ」明らかに城戸を誘ってる、こちらもわっるい顔の理生。

やっと出会った大切な師匠がもうすぐいなくなろうとしている。しぜん理生の、もうひとりの大切なひと―城戸への想いは強くなる。先生の前では弱気な態度は見せないが、城戸と二人きりの時には、すがりたい。ああ、それなのに、それなのに。

【第五話 裏切りと哀しみの連鎖】
ポルノ処女作の刊行が決まり、木島は城戸のオフィスを訪れる。出版社の社長も同席する打ち合わせの場で、城戸が転職するために木島の担当を外れる事、そしてそれが彼女と結婚するためであることを、木島は初めて聞かされる。「君は最低だ」と言い捨て、その場を後にしようとする木島を城戸は引き止めようとするが、木島は激昂し城戸を侮蔑する。侮蔑され、木島のようには生きられない自分に改めて気付かされた城戸は「お前といると自分が嫌になる」と木島に告げ、木島も「僕もお前みたいな人間、反吐が出る」と去っていく。木島と城戸が顔を合わせなくなり暫く経ったある日、城戸は蒲生田の病室を訪れた。そこで、木島の事を頼む、と蒲生田から涙ながらに懇願され、城戸は決意の表情で病室を後にする。数日後、城戸のオフィスでは、転職をやめたいと社長に頭を下げている城戸の姿があった。昏睡状態で2日目だと連絡を受け、城戸は蒲生田の病室に駆け付ける。不眠不休で蒲生田に寄り添う木島に、城戸は少しでも休むよう優しく声を掛けた。久々に顔を合わせた城戸に、木島は「来てくれてありがとう」と伝え、1人で抱えていた想いを打ち明けていく。そして、その明け方、蒲生田は眠ったまま静かに息を引き取った。

『ポルノグラファー』の時は理生はまっすぐ相手を見て話している時に嘘をついている。でも『インディゴの気分』の時の理生はその逆で、相手を見て話している時は100%本気。蒲生田に弟子入りを頼む時も、城戸の“裏切り”を知った、今この時の「君は最低だ」も本気。だからこそ城戸の心に突き刺さる。

理生は「二つのことに切れてる」と言うけれど一つは城戸の裏切り、もう一つは城戸の仕事への向き合い方、つまりはどちらも城戸に怒っている。同じシチュエーションでも後年なら皮肉な笑みを浮かべただろう木島が感情をむき出しにした回。それだけ相手に対して真剣だったということ。

ただ“裏切り”に関しては責めづらい。「いつの時点から」なんて聞いたら、まるで嫉妬しているみたいで(してるんだよ)プライドの高い理生の居場所がない。だからもう一つを責める。一番城戸が傷つくであろうポイントを。

「信念はないのにプライドは一人前にあるのか」と言う理生。理生が自分のなけなしのプライドさえ軽蔑している事を知った城戸の目の色が変わる。吉田さんは監督に目線の演技を指導されたそうだけれど、その指導が生きているシーン。防戦もせずただパンチを食らうばかりだった城戸が、第一話で飲み込んだ思いを吐露し、勢い余って壁ドン。

理生に責められた城戸の台詞「みんながお前みたいに生きられると思うなよ」本当は「みんな」じゃなくて「俺」と言いたい。だって次の台詞は「お前といると“俺”は自分が嫌になる」。みんなという不特定多数でごまかすのも、最後まで理生と目を合わせていられず、自分が責めているのに、すがるようにもたれかかってしまうのも、城戸の狡さと弱さ。

「責任取れよ!」「お前のせいだ城戸!」「なあ頼む!」体ボロボロなのに、最後まで命令口調で理生を託す蒲生田の必死さに心動かされる城戸。転職はしないと社長に告げた時の城戸の頭が90度以上下がっていて、彼の本気度がわかる。随所に挿入される、城戸のサラリーマンとしての優秀さ。

【第六話 存在することの彼方へ】
桜が舞い散るなか、蒲生田の葬儀が営まれている。蒲生田の親族は遠方に住む付き合いのない妹のみだったので、葬儀のほとんどは木島が執り行ったが、それを「財産目当て」だと口にする弔問客もいた。実際に木島が蒲生田から受け取ったのは遺作の権利だけ。葬儀を終えた木島は、その遺作の原稿を城戸に渡し、その遺作は、蒲生田は書き上げられず、自分が加筆して完成させた、と告げた。このことは一生誰にも言うつもりはない、その原稿を持ってどこへでも好きなところへ行けよ、と木島が伝えると、城戸は「会社は辞めない。続けることにした」と答える。結婚話も無くなった、と明かす城戸に、君はまともな奴で、そういうところが好きだと木島は告げる。2人は見つめ合うと、求め合う恋人のように濃厚なキスを交わし、蒲生田の遺影の前で身体を重ねた。数か月後、蒲生田の遺作が書店に並んでいる。病床で書かれたとは思えない筆致が絶賛され、話題作となっていた。木島は、蒲生田からもらった「鬼島蓮二郎」という名前で再デビューし、他社からの依頼も受け、順調に仕事をこなしていた。そんななか、木島と城戸は微妙な関係になり、城戸は合コンで出会った彼女と付き合って1年で結婚し、娘も誕生した。そして、現在。木島と城戸がバーで呑んでいる。木島は、付き合うことにしたと城戸に明かした久住のことを、大切そうに話している。もう自分が見ることのない木島の幸せそうな表情を見て、城戸は複雑な感情を抱く。だが、そんな城戸の気持ちに木島は気付くことなく、久住が待つアパートに帰って行った。

転職も結婚もなくなった。(だからお前とこれからもいられる)という言外の意味を含めたはずなのに理生からは「担当は今まで通り君なんだね」だけ。「それだけ?」『ポルノグラファー』第3話で理生が春彦に投げた言葉が今度は城戸から理生に向けられる「それだけか?」続きを言わないのは理生が城戸の「俺はお前といると…」を覚えているから。

城戸の「俺はお前と」遮るように「喪服ジャンル」の話をする理生。本当は理生の方も「俺はお前と」の続きを聴くのも、その先を言ってくれないのも怖かった。天才だって普通の人間で怖さも脆さも持っている。だから「喪服ジャンル」という別の話題に逃げ込んだ。

日本家屋がいい仕事をしている回その2。今度は柱。

「弔いがてら城戸と一発はめろ」という蒲生田の遺言は自分が火をつけてしまった二人へのプレゼントか罪滅ぼしか。結ばれてうっとりするような眼差しで城戸を見つめ胸に顔を寄せる理生。
彼が目をつむると寝てるふりをしていた城戸が目覚めるが理生でなく虚空を見つめる。横に並んでも二人はもう同じ時に同じものを見られない。

「俺はお前と」の続きが言えない。キスしようとして寸前で謝られる。誘うような「またね」に触発され部屋の前に立つも理生に声をかけず見守るだけ。藍にして青のインディゴのようにいつも真ん中にいてあと一歩が踏み出せなかったために燻りを抱えて生きる大いなる凡人城戸。

師匠として、かつ生きざまを通して言葉の大切さを教えていく蒲生田、独白ではあんなに雄弁なのにいざとなると言葉にできない城戸、怖れを知らぬ若さで気持ちをまっすぐに伝えられる春彦、三者と接して最後に出て来る理生の「言葉ってすごいんだねえ」

ラスト城戸の独白
「あの日 燃やし尽くせなかったから たぶん その炎は 一生消えないだろう」
からの画面がさぁっとインディゴに染まっていくシーンがいい。

…とここまでだと埋火がゆらめいているのは城戸だけのように見えるが
『インディゴの気分』を見てから『ポルノグラフアー』第3話を見ると、また別の解釈が。
わざわざ自分から城戸の娘の写真を持ち出したり「今じゃ城戸くんも立派な家庭人だなあって……」と言ってるシーンは、自分のナイフで自分を傷つけてる感じ。それなのに、水を向けられたインディゴ男城戸がいいパパの笑顔をするもんだから、他人のナイフでもぐさぐさ抉られる。ああ、だから理生があんなに悪酔いしたのか。飲まずにいられなかった気持ちを考えると、もしかしたら燻っているのは城戸だけではない。
あと、『ポルノグラフアー』5話で“こうありたかった自分”が目の前にばーん!と現れて「合鍵下さい」と言われたら、そりゃ渡すよ、と。それでもやっぱり少しは“やな気分”なんだろう。

登場人物について書いてみます。

城戸士郎
中の人は喉を噛んじゃったり(3話)、キスシーンに風邪を引いちゃったり、いろいろあったみたいだけど、結果として漫画よりも明るさと暖かみが優った城戸になっている。
まあ、本当の最中の時は、お互い訳の分かんないこと口走ってる感じだけど、芝居としてはそれでは成り立たず、きちんと台詞を言いながら、動きはあくまで“夢中で求めあう姿”でなければならないのだから、そりゃ大変だったろう。
春彦は強引に“友達”認定したいようだけれど、“友達”とはしないあんなことやこんなことをやっている理生の腐れ縁で、天国と地獄を味わわせた“最初の男”。弱さと脆さと優しさとプライドを持って、生きづらい日常を過ごしている。女性経験があるのはわかるが、理生とのあんなことやこんなこと―「今日は無理で入らない」ならば別メニューがちゃんとある―フレキシブルスキルは一体どこで。セックスにおいては言葉攻めの名手。城戸が理生に言う時は「なあ」理生が城戸に言う時は「ねえ」。優しい「なあ」の次に「もっと足開け」みたいな無理無理欲求や「こんなこと先生ともしてんじゃねえのか」みたいな攻め台詞が続く。漫画BLではよくある俺様攻めキャラだが三次元として現れると魅力も倍増。背中から囁かれると理生ばかりか視聴者の背中もぞわぞわする低音イケメンボイス。

木島理生
自分に自信があり、自信を裏付ける才能も持っているのに、EQが低く使ってくれる出版社もない。その割には借金が増え続けてもあまり切羽詰まっていないなど、どこか浮世離れしている。
そのあたりが庇護欲をかきたてる。性に対しては淡泊だったが城戸との出会いで自ら“開発”に乗り出す。だが「お前開発しすぎだろ」という城戸の台詞から察するに、何でもやりすぎてしまう傾向にある。城戸の言葉攻めを受けながら自らも誘い文句を無自覚か意識的にか口にして、魔性は後半になるにつれてパワーアップ。
『ポルノグラファー』では師匠・城戸の薫陶を受けて?自らも春彦を言葉攻め。
この時は『ポルノグラファー』のようにやさぐれておらず感情をストレートに口にする。しかし蒲生田に言われてせっかく人とのつながりを持とうとした矢先、その相手=城戸の本心を聞き、踏みとどまってしまう。以後これが理生のトラウマとなり、人と深くかかわるのを恐れる。

蒲生田先生
「あなたさえいなければ」なのか「あなたがいてくれたから」なのか、いずれにせよ城戸と理生を結び付けるきっかけを作ったエロ事師&作家。実践派でいろいろな道具を揃えていたが借金が残っていた。但し例の部屋にあった道具などは好事家垂涎の的だったりするかもしれないので、闇ルートで売れば借金はチャラでは。
理生に対しては、こうあって欲しかった父親そのものと師匠という大きな存在になっていく。
「官能小説なんてのは、嘘っぱちだらけで虚構の最たるものだろう。だからこそ、自分の中にある真実の欲望を書いて初めて他人の心を動かせる」と後の『ポルノグラファー』=嘘つき官能小説家になる理生の未来を示唆する台詞を吐く。彼が二人の運命を変えたように、蒲生田もまた城戸の思惑によって理生と出会い、死んでも死にきれない未練を抱く。あれほどの大家で人生経験も豊富な人が、死の間際、ただただ若い城戸に縋りつくところが、城戸の感情と人生の選択を動かす大きなポイントになる。

久住春彦
本編では“ラスボス”呼ばわり。にしては、可愛すぎる“ラスボス”はラストに登場。原作では2年くらい文通生活を経ての再会だが、ドラマだと“久しぶり”感が。下から見上げる城戸に気づかないほど理生が来てくれて嬉しい気持ちが滲み出ていて、誰も彼には敵わない―ただし今のところ。
正直、城戸でなく春彦におさまった理由は「城戸が持っておらず春彦が持っていたもの」より「城戸が持っていて春彦が持っていなかったもの」が原因では。曰く、嫉妬、羨望。
かつ、城戸は理生と同じ年だったが、春彦は年下だったから、てらいなく笑顔を向け好意も伝えられた。また、理生と出会った時は、相手は既にポルノ作家としての著作があり、初めから“先生”として見ていた。最初に距離があったことが、うまくいくポイントだったのでは。怖いもの知らずの若さとまっすぐな愛情で、理生の根深いトラウマを癒せるか。

『プレイバック』は未見です。さあドラマになるかな?


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最終更新日  November 2, 2019 04:21:27 PM
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