映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。石田純一さんも新型コロナにかかっちゃいましたね。
今日もケン・リュウ作品集を紹介します。

生まれ変わり
The Reborn　 and Other Stories
ケン・リュウ
早川書房

　冬休みに両親と宇宙船でニュー・ハイファへ旅行中のレベッカは、突然神から話しかけられてびっくり。船内の鼠を全て捕まえないと、天敵のいないニュー・ハイファで鼠が大増殖する。かつ、ニュー・ハイファにある人間に影響を与えないウィルスが、鼠を介して蔓延するというのだ。

　「鼠だって神様の創造物の一つじゃん」としごくまっとうなことを言うレベッカに対して、神はあれこれと理屈をこねごまかしつつ、鼠退治のためにゴーレムを作るよう命じる。しかし当然の事ながらユダヤ人には安息日があり、いろいろと禁止事項がある。旧約聖書の御代に男性諸氏があれだけ神の教えと予言を受け入れていたのとはえらい違いだ。すばらしいぞ宇宙世紀。賢い少女レベッカと神の鼠退治作戦は成功するのか？ケン・リュウにしてはコメディ色の強い「化学調味料ゴーレムThe MSG Golem」(大谷真弓 訳）。

　大航海時代、コロンブスやアメリゴ・ベスプッチら探検家は、かずかずの新大陸を“発見”した。しかし”発見”は常に征服を伴い、もともと現地に住んでいた人達に不幸をもたらした。“未知なるフロンティア”と謳われている宇宙も同じ。もし、今までにない人種を見つけた時、本当に”発見”したと発表することが現地の民の幸せになるのか？心優しき探検家達を描いた「ホモ・フローレシエンシスHomo Floresiensis」（古沢嘉通 訳）。

　将軍の娘が何者かに攫われて、二人の姉弟子と師匠に仕込まれ、第一級の殺し屋になる訓練を受ける。やがて彼女は節度使を殺すよう命じられるが、当の相手に自分を殺す意義について問われ、心が揺れ動く。ストーリーの骨子だけでお腹いっぱいなのに、彼女が第一級の刺客を退けるために繰り出すテクがいかにもチャイナ的。映画『黒衣の刺客』のベースになった説話をSF風にアレンジした「隠娘The Hidden Girl」（古沢嘉通 訳）。

他の収録作
「生まれ変わりThe Reborn」古沢嘉通 訳
「介護士The Caretaker」大谷真弓 訳
「ランニング・シューズRunning Shoes」古沢嘉通 訳
「訪問者The Visit」大谷真弓 訳
「悪疫The Plague」古沢嘉通 訳
「生きている本の起源に関する、短くて不確かだが本当の話A Brief and Inaccurate but True Account of the Origin of Living Books」大谷真弓 訳
「ペレの住民The People of Pele」古沢嘉通 訳
「揺り籠からの特報Dispatches from the Cradle:The Hermit-Forty Hours of　Massachusetts」大谷真弓 訳
「七度の誕生日Seven Birthdays」 古沢嘉通 訳
「数えられるものThe Countable古沢嘉通 訳
「カルタゴの薔薇Carhaginian Rose」古沢嘉通 訳
「神々は鎖に繫がれてはいないThe Gods Will Not Be Chained」幹遙子 訳
「神々は殺されはしないThe Gods Will Not Be Slain」幹遙子 訳
「神々は犬死にはしないThe Gods Have Not Died In Vain」幹遙子 訳
「闇に響くこだまEchoes in the Dark」大谷真弓 訳
「ゴースト・デイズGhost Days」大谷真弓 訳
「隠娘The Hidden Girl」古沢嘉通 訳
「ビザンチン・エンパシーBuzantine Empathy」古沢嘉通 訳
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