映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。アベノマスク届いてますか？
ところで自分のルーツって知りたくなりませんか？

影の歌姫〈上巻〉
The Storm Sister
ルシンダ・ライリー
創元推理文庫
高橋恭美子(訳者)

　レマン湖のほとりに建つ館〈アトランティス〉で育った血の繋がらない六人姉妹の次女アリー。フルート奏者にして、ヨット選手。父の死の知らせを聞いたとき、アリーは最愛の人と共に、地中海の島に停泊中のヨットの上にいた。父が死んだ? だがアリーはその前日、父の豪華ヨットを目撃したばかりだった。何が起きているのか。悲しみをこらえ、前に進もうとするアリーにさらなる悲劇が。

　長女マイアに続き次女アリーの物語。才能と自信に溢れていたヒロインにダブルでやってくる愛する人の悲劇。今の家族が好きすぎて、父が残したルーツを辿る足掛かりなど気にも留めなかったアリーだが、文字通り何もすることがなくなって、ふと手にした翻訳原稿を読み始める。

　話中話スタイルで、時々アリーの【原題】パートに戻る。シリーズ既読者は「翻訳中に書かれた人物がヒロインと何らかの関係がある」事にすぐ気づくはずだ。

　もう一人のヒロインは1800年代後半のノルウェー。田舎の村で家事ベタだが素晴らしい歌を歌うアンナが、都会からやってきた教師に才能を見出される。すわ歌手デビューか？と思いきや、そんなに話はうまくない。とはいいつつ、アリーが読んでいる伝記にはアンナのその後の姿が描かれているので、読者だけは彼女の成功を一足先に知っている。ではいかにしてその過程にたどり着くのか？を探るのが話中話のテーマ。大企業のボンボンながら音楽の道を選んで感動されたイェンスと、田舎に残してきた婚約者ラーシュとの間で揺れながら成功の階段を上っていくストーリーは王道そのもの。ただしこの三角関係には上巻であっさりケリが着くので下巻はアリーの将来と共にアンナの歌手としての成功を追う事になるだろう。


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